著者 : 中沢健
あれから8年ー。東京でしがない特撮ライターとして日銭を稼ぐオレ、高寺一郎はかつて“キモイマン”であったことが人生最大の栄光となりつつあった。そんなある日、大学進学のため上京してきた聖と再会したオレは、美しく成長した彼女に息を呑む。今も変わらず「一郎にいちゃん」と親しみを込めて呼んでくれる聖に淡い期待を抱いてしまう…。と、そのとき、オレと聖の前にアイツが現れた。世間を騒がせている謎の人物“ベーグロス”-正真正銘のヒーローだった。あの等身大以下のヒーローが帰ってきた!波乱の社会人編!
等身大以下の最弱リアルヒーロー参上! オレの名前は高寺一郎。 高校では「キモ男」と呼ばれて、めちゃくちゃいじめられている。それはもうえげつないほどに。オレには自分のどこがキモいのかさっぱり分からないが、いじめる奴らに言わせると、存在自体がキモいのだと。 そんなオレの唯一の癒やしは、毎朝の通学電車のなかで出会う他校の女子高生・小宮美織を観察すること。美織のことはいろいろと知っている。一度家まで後をつけたことがあるから、彼女の自宅の住所だって知っている。なのに、向こうはオレがここに存在していることすら知らない。 ある日の放課後、美織に偶然会えたりしないかと、彼女の家の近所をうろついていたオレは、小学生の女の子が同級生に万引きを強要されている現場に遭遇した。なけなしの勇気を振り絞って助けてあげたその女の子はオレのことをヒーローか何かと勘違いしたらしい。その女の子ーー聖は、熱い尊敬のまなざしでオレを見つめながら言った。 「一郎にいちゃん、正義の超人ジャスティスターに変身して!」 この時から、惨めでカッコ悪くって最低に輝いた、オレの汗と涙にまみれた戦いの日々が始まったんだーー。 『初恋芸人』の著者が描く、等身大以下の最弱リアルヒーローストーリー!
売れない芸人のイタいほどピュアな恋の物語 「佐藤君と付き合うくらいなら、死んだほうがマシよ!」 中学時代ひどいいじめを受けていたボクは、クラスメイトの女子にぶつけられた言葉から、自分は一生女性とは縁がないんじゃないだろうかという気がしていた……。 案の定、一度も女性とお付き合いすることもなく童貞のまま25歳になったボクは、芸人を志していた。子供のころから大好きな怪獣をネタにしたボクの芸は、残念ながら世間から注目を集めたことなど一度もない。けれどあの日、そんなボクの芸を「面白い」とほめてくれる観客が現れた。 市川理沙ーーそれが、ボクに向かって初めて微笑みかけてくれた女性の名前だった。 「私、友だちがいないんです。よかったら、私と友だちになってくれませんか?」 25年の人生で初めて、ボクに女性の友だちが出来るという瞬間が訪れたんだーー。 NHKBSプレミアムにて連続ドラマ化も決定した、イタいほどにピュアな恋の物語。新たに加筆・改稿された文庫版として登場!