著者 : 井上祐美子
中原に激震走る!見果てぬ夢の達成を目前に異郷の戦陣に没した「征」王魚支吾。野望の果てに残ったのは人民の疲弊、王宮に渦巻く謀略。千載一遇の好機に眠れる大国「衛」、ついに動く。動乱の風をはらんで「琅」も反撃の挙に出るが-覇王の玉座は誰の手に。
「魁」王朝最後の血縁「奎」伯段大牙は北方諸国を統べる王として西国「琅」との決戦に挑んだ。頼みの謀士耿淑夜と引き離されたままかつては窮境を共にした赫羅旋とついに干戈を交える。「魁」の滅亡から五年、天空には帝位剥奪を示す孛星が不吉に輝いていた。
大国「征」の中原制覇を阻むため、「衛」と「容」が結ぶ盟約交渉の席で、二人は再会を果たした。「衛」王耿無影と無冠の謀士耿淑夜。かつて兄と慕い、やがて仇と憎んだ無影が明かす思いもかけぬ真実に堅くしこった淑夜の心は溶けていく。だが恩讐の歳月はもはや後戻りできぬほど二人を隔て、戦場へと風が漢(おとこ)たちを駆り立てる。
〈奎〉国が奇襲により、〈衛〉国を大破した巨鹿関の戦いから半年。〈魁〉国の和議によって一旦は保たれた中原の秩序だが-。太宰・冰子懐を通じ〈魁〉国の実権を握ろうと謀る〈征〉公・魚子吾。短期に力を回復し、中原の表舞台へ討って出んとする〈衛〉公・耿無影。興隆する時代の勢いはとどめようもない。各地に広がる不穏な噂に、奇怪な天変地異。〈魁〉国の滅亡は天意なのか?中国ヒロイック・ファンタジー待望の第2弾。
華と呼ばれる中原が5国に分裂した五王時代、士太夫・耿家の庶子無影は自らの1族を滅して衛国王位を簒奪。再従兄弟以上に離れた彼を実の兄のように慕ってきた耿淑夜は、1族の仇とその命を狙い、失敗。半死半生で追われる身となったところを夜光眼の戎族、赫羅旋に拾われて、魁国の商家にかくまわれる。2人の確執を核に中原に戦いの火の手が上がる。新しい中国歴史小説の旗手が織りなす壮大なヒロイック・ファンタジー第1巻。