著者 : 仲町鹿乃子
「ようこそ、婚約者殿」そう言って恵茉を迎えたのは、狐面で顔を隠した青年だったーー。 祖父を亡くした恵茉は、言いつけに従い訪れた代官山の屋敷で、律と出会う。彼は婚約者であると同時に、祖父が菓子を納めていた店の主でもあるというのだが。 (菓子店ではなく、画廊を経営?) 律の画廊には、怪奇現象を起こす絵の相談が寄せられる。それを解決する菓子作りの力が、祖父から恵茉へ継がれているようで……。 心の傷と、秘密を抱え、絵に込められた思い出を解きほぐす、二人の恋愛ファンタジー。 目次 プロローグ 一・夏の宵待ちとガレット 二・恋する画家と二枚の絵 三・縁を結ぶ萩と牡丹 四・ゆびさき宿りの娘と蘇る絵 五・ゆびさき宿りの娘と顔の見えない旦那様 エピローグ あとがき
母の看病のため、学生らしい時を過ごせてこなかった慶子さんは、高校三年生を目前とした春の朝、ケーキのような甘い匂いに誘われ和菓子屋「寿々喜」に辿り着く。 店員の青年に招かれ店内に入ると、出されたのは小さな“どら焼き”。そう、あの香りの正体はケーキではなく“和菓子”だったのだ。 和菓子の魅力に惹かれ、お店に通い始める慶子さん。だが、進級後の新しいクラスで、慶子さんの隣の席になったのは、なんとあの和菓子屋の店員さんで……!? 四季折々の和菓子と、ほんのり甘くじんわり優しい恋物語をどうぞ。 目次 序章 はじまりは、仙寿 四月 ときめきの春霞 五月 謎解きの柏餅 六月 嘉祥菓子は賑やかに 七月 天の川に思いを込めて 八月 夜舟は密やかに 九月 恥ずかしがり屋の着綿 十月 南下する紅葉、色づく心 十一月 しんぼうの木練柿 十二月 手のひらの上の山茶花 一月 春隣、恋隣 二月 それは、メジロか鶯か 三月 ふたたびの、仙寿 終章 わたしと隣の和菓子さま