著者 : 仲谷鳰
山中の小屋で陶芸に勤しむ岩谷カナは、一年前に知り合った新城雅と、町でちょいちょい会っている。カナは雅に膝枕をして世間話をするだけで、なぜ会おうと言われるのかと思っていたが、ある日、雅がカナのもとを訪ねて来て──。 実家のお茶屋を継いで、このまま一生を終えるのも悪くないと思っていた矢先、わたしの前に現れたのは姪だった。高校生で兄の娘。そんな女の子がわたしの彼女になって、一緒に過ごしていると、昔の知り合いを連想する。鳥のような、でも飛びもしないで走ってばかりいる鳥のような彼女のことを──。 少女たちの鮮烈な想いが弾ける作品集。
繋いだ手のぬくもり。これはきっとリアルだ 「この雨も、風も、空も全部。もうずっと昔に地上にあったものを再現してるだけ。ただのフェイクじゃん」 有機ディスプレイは偽物の空を映し、人工太陽の光が白々しく降り注ぐ地下都市『Polis-UK8』。この全てが人の手によって作られたフェイクタウンで生きる十六歳の少女・レニーは、周りに溢れるフェイクを嫌い、リアルな『何か』を探している。 そんなレニーが出会ったのは一人の少女・トーカ。サボリ魔で不良少女たるトーカに、レニーは特別な『何か』を感じ、一緒の時間を過ごすようになる。 ある日、レニーの前に空から謎の球体が降ってくる。まるで太陽のように真っ赤に燃えていた小さなそれを、レニーは『太陽の欠片』と名付け正体を探ろうとする。 一方その頃、トーカの方でも何やら変化が起こっていて、二人の日常は音を立てて崩れ始めていくーー 。 「きっと隣にレニーがいるからーーこんな毎日なら、あたしは悪くないと思えるんだ」 いつかトーカが言った言葉。あれはフェイクだったの? それともーー。 第14回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作! 地下都市に生きる二人の少女のリアルとはーーガールミーツガールから動き出す、青春SFストーリー! 【編集担当からのおすすめ情報】 第14回小学館ライトノベル大賞の優秀賞受賞作品! ゲスト審査員を務めていただいた若木民喜先生からは「この物語は切なくて煩悶しました」との講評を頂いた青春SFストーリー! 百合好きの担当編集としては「この面倒くさい女同士を見てくれ!」コレにつきます! 若いからこそ見えてしまう景色ーー偽物だらけの世界で生活する少女たちの悩みと、その悩みに真っ向からぶつかって行くアツさがあります! 著者の悠木りん先生は本作品でデビュー。キャラクターの会話や物語の展開をきっと好きになれると思います。 イラストをご担当いただいたのはアニメや舞台化もされた大人気作品『やがて君になる』(電撃コミックスNEXT刊)の仲谷 鳰先生! 地下世界という閉塞的な世界で生きている暗さを感じさせないようなキャラを活き活きと魅力的に描いてくださいました! これがガガガ文庫の「百合×SF」の最前線です。 どうぞお楽しみください!
『だってわたし、今、あなたのことが好きだもの』 それは何年ぶりの『出会い』だっただろうか。大学二年生となった沙弥香を慕う、一つ年下の後輩・枝元陽。 今まで沙弥香が好きになってきた人の誰からも遠いその雰囲気。眩しいくらい積極的に好意を伝えてくる陽に初めは警戒しながらも、やがて彼女からの気持ちに応えるように、沙弥香は恋の形を模索する。 ーー誰かに恋をする度、星に手を伸ばすようだった。とても綺麗で、ただ届かない。それでも。その星に触れてみたいと、今度こそ。 沙弥香の恋の物語、完結編。
もう人を好きになるなんてやめてしまおう。中学時代に経験した手痛い失恋から、そう心に決めていた沙弥香。しかし高校の入学式で初めて七海燈子の姿を見たその瞬間から、どうしようもなく燈子に惹かれていく。 同じクラスになり、一緒に生徒会にも所属し、やがて親友と呼べる仲にもなった。隣を歩み続ける中で、燈子の強さも弱さも知った。燈子のすべてを見て、一層好きになっていく。 でも、だからこそ。沙弥香はどうしても「好き」を伝えられない。待ちすぎて、恐れすぎて、一歩踏み出すことができなかった沙弥香の迷い、後悔、喪失ーー。 人を好きになるということを知ったのは、『彼女』と出会ってからだった。
理解でもなく、諦めでもなく、そこにあるのは自分への納得。 --私は、女の子に恋することしかできないんだって。 幼少時代から大人びていて、どこか達観した少女だった佐伯沙弥香。だが小学五年生の時に友達の女の子から自分へ向けられた感情に、彼女は答えを出せずにいた。 そして中学時代。仲の良かった先輩・千枝から恋心を打ち明けられた彼女は戸惑いながらも告白を受け入れ、次第に恋愛の深みにはまっていくが……。 ままならない想いに揺れ動く少女、佐伯沙弥香の恋を描くもうひとつのガールズストーリー。