著者 : 佐原菜月
地方国立大学の貧乏女子寮「万葉寮」一帯を縄張りとする野良猫が二匹。一匹はのどをゴロゴロならしては女子から餌をせしめるのが上手な腹黒な白猫くん。一匹は決して毛並みを人に触らせないぶっきらぼうなキジトラ猫くん。そんな彼らの正体は数百年を生きる老獪な猫又で……? とあるトラウマから極端な猫嫌いとなった寮生の圭美は、そんな二匹(二人?)の猫になやまされている。 窓から勝手に部屋に入っては寝床にされ、食料を勝手に拝借してはやれもっと上等な餌を用意しろと嫌味をいわれ、あまつさえ圭美を脅しては猫の問題事に巻き込まれ……。 そんな二匹の猫又と一人の猫嫌いが織りなす、ゆるやかな大学青春模様。
美酒を一献振る舞えばどんな難題も解決! 大晦日、雄里の友人が持ち込んだのは「宝探しをしてほしい」という謎の依頼で? 店に 居着く一言主のコトハと苦労人の店主が織りなす、季節の料理と日常の謎をどうぞ。
おいしい料理とうまい酒に引き寄せられ今日も悩みを抱えた依頼人がやってきます。 東京都某所の隠れた名店、居酒屋「とりい」には神様の探偵さんが居着いているーー。 金髪碧眼にライダースジャケットを羽織った酔っ払いのロクデナシ美女、葛城コトハ。 その正体は、古代より託宣の神として祀られた「葛城の一言主の大神」の成れの果て。暖簾という名の「鳥居」をくぐり、御神酒代わりのビールと焼酎を報酬として振る舞えば、彼女はどんな難題でも答えを導いてくれる。 「今の一言、しかと聞き届けた!」 ポジティブ&脳天気な元神様と、苦労人の店主が織りなす、季節の料理と日常の謎をどうぞ。
「--で、結局あんた何者?」 姉の中の“オッサン”が事件を呼ぶ!? 美人だけど趣味も性格もどうにもオッサン臭い女、利津。彼氏に振られた夜に赤提灯で一人酒。冷酒になめろう、愚痴をわめきながら酔いつぶれ、弟に介抱されて家に帰る。 「……これが実の姉かと思うとかなりフクザツだな」 そうして二日酔いで目覚めた朝、姉の中には本当に「オッサン」が棲んでいた! 姉の身体に触れれば、確かに野太い男性の声がテレパシーのように聞こえてくる。幻覚? 二重人格? それとも悪霊が取り憑いた? その声の正体を調査していく中で、とある殺人事件との関連が見えてくるのだが……。非日常的コメディサスペンス!
“旋律士”--。 それは生まれながらにして旋律器官と呼ばれる特殊な紋様を身体に刻み、その器官から“音楽”を生み出すことのできる特別な存在。 戦乱終結から15年、不平等な条約により騎士団を解散させられた王国にあって、貴族達が血眼になって欲する権力の象徴は「楽団」を抱えることであった。 類まれなる才能を秘めながらも上手に音を操れない落第音学生の少女コハクと、貴族ご用達の有名作曲家・ヂェス。音楽祭で出会った二人の運命は、やがて大国が争う新たな戦乱へと巻き込まれていく。
新米刑事の空也は、ある事件をきっかけに碧い眼を持つ年若い神父・青と出会う。友人の形見を捜し求める青と大きな事件を追う空也。互いの目的のために協力することになったふたりは、徐々に信頼とも呼べる気持ちを抱くようになっていくが、青は誰にも明かせない、とある秘密を抱えていて……。 それは自らが背負うべき罪なのか──。わけあり神父と新米刑事が繰り広げる、異色のヒューマンサスペンス。