著者 : 倉本由布
源頼朝の長女・大姫の“お婿さま”として鎌倉へやってきた木曽義仲の嫡男・義高。だがその実態は“人質”。そして父・義仲の反乱で義高の立場は一層危ういものとなった。「俺は、死んだら海に還るよ。鎌倉で死んでもどこで死んでも、必ずこの海に還る」大姫を腕に抱きながら、そう語る義高。その揺れる心を大姫も胸いっぱい感じとっていた…。涙と感動の歴史悲恋ものがたり。
短大に入学するために見知らぬ町へやってきた花音。まみという仲よしもできたし“ロトリー”というサークルにも入ったの。でもひとり暮らしがさびしくて、思わずブルーになってしまうこともあったのだけどね。そんなある日、サークルに新入会員が。その人はなんと、あのみーくん、松浦一泉だったの。はじめはとまどうふたり。でもやさしい思いが、心に通じあうようになって…。
寿永3年(1183)源頼朝の娘・大姫は14歳の春をむかえた。突然父から「姫の婿が決まったぞ。木曽の嫡男・義高だ」と言われて、びっくり。その押しつけに怒って由比ヶ浜に抜け出し、大好きな海を見てた時-、「俺、海を見るのって、初めてだよ」直垂姿の少年が瞳を海いろに染めて沖を見つめていた。-それが義高。ふたりの恋の始まりだった。悲しい恋の、始まりだった…。
高校三年になった花音。報われない愛と知りつつも凪子を好きな慎之介を見て思う。「私だったら、好きな人には、好きを返してほしい…。三年前、一泉くんより淳くんを選んだのは、だからだ。あのとき、本当に好きだったのは誰…?」淳くんの目が弥生を映すことを許せない花音。一泉くんを胸の中から捨てきれない花音。自分の恋のゆくえに十八歳の心は乱れる…。
高校2年の夏。17歳の誕生日の花音は松浦一泉(みーくん)と再会した。でも彼にとっては、その日は恋人・祐実の一周忌だった。「皮肉だね。俺、もう、花音の誕生日を祝ってやれなくなっちゃった…。」すれちがってしまう想いに、花音の心は重い。恋人の大沢淳悦(淳くん)も含めて、ガラスのように儚くこわれやすい心たちの姿を花音は知っていく…。好評シリーズ第5作。
真朱学院高校に入学した花音。淳くんとはクラスはちがってしまったけど、若林可織とは同じ1年C組、調理研究クラブまで一緒なんだ。同期には慎太郎・慎之介という顔はそっくりだけど性格がちがう双子がいて、その縁で花音にも新しい交流が生まれていた。そして8月17日、花音の16歳の誕生日。運命の〈夏〉が始まった。ひとつは淳くんとのファーストキス、そしてもうひとつは…。