著者 : 友風子
ついに立后直前。街は皇帝朱心の帝位継承を祝う『龍恵祭』の準備で賑わっていた。-が、「選べ。皇后か、薬師の道か」英鈴は、夢を諦め皇后になるか、後宮を出て薬師の道に進むか、究極の選択を迫られてしまう。そんな中、『龍恵祭』の準備で妃嬪らの揉め事に巻き込まれたり、薬師として対処が必要な問題が起こったりする。二つの面を通して、英鈴が気付いたこととはー?「私は、旺華国後宮の薬師だから」英鈴が選んだ未来、そして渾身の『不苦の良薬』をご覧あれ。歴史に名を刻む薬妃伝、堂々完結!
まもなく先帝の喪が明け、皇帝朱心の時代を迎える。つまり、立后も目前。しかし皇位継承の儀が、前例のない不吉な失敗に終わってしまった。すると英鈴の実家から呪いの道具が見つかり、そのせいで儀式が失敗したとして英鈴は後宮を追放されることに。儀式の失敗に、冤罪。何かがおかしいと感じた英鈴は、幽閉先から抜け出し、この謎を解くために奔走する。すると、英鈴だけでなく呂賢妃も同じ容疑で後宮を追い出されたと聞き…!?「これは、陛下を廃位させるための罠よ」『薬』で朱心の危機を救えるのかー?
かつて敵国だった金枝国へ『おいしい薬』を提供し、皇帝・朱心の専属お薬係の座を守った英鈴。ところが金枝国から返還された人質の暁青が嬪として後宮に入ると、たちまち朱心のお渡り疑惑が浮上。「まさか陛下が」と思う英鈴だが、妃嬪たちのお茶会に参加する暁青の様子を見て、とある違和感に気づいてしまう。何かを隠す彼女に疑念が深まる中、朱心が夜に出歩いていたという話まで聞き、英鈴は心が揺さぶられ…!?「たとえ恋敵になろうと、私は私の務めを果たすだけ」後宮の戦いを『薬』で切り抜けられるかー?
後宮に仕込まれた『不苦の猛毒』に薬で対抗し、皇帝・朱心を守った英鈴。この度異国から来た通問使が英鈴に『不苦の良薬』の開発を依頼してきた。引き受けるも、朱心はなぜか薬師の少年・緑風にも開発を命じる。さらには優れた処方を作った方を皇帝専属のお薬係にって…もしや交代の危機!?期限はたったの五日。しかも文化が異なるため処方の開発に難航する一方、新しく入った宮女・翠玉が制度を破り秘薬苑へこっそり入ったことに気づく。敵の回し者かと疑い始めたところ、彼女の容貌に引っかかりを覚えー?
皇帝・朱心に才能を見出され、貴妃の位を賜り専属のお薬係になった英鈴。『安眠茶』騒動が収まり平穏が戻ったと思いきや、今度は英鈴の菓子から毒が見つかった。命を狙われ恐ろしく思うも、苦い毒を相手にわからず食べさせる手法は、自分が作る『不苦の良薬』に似ていると気づく。手がかりの薬包紙を元に対策を練るが毒は次々に仕込まれていき、さらには『手を引け』と朱心からも突き放されてしまう。それでも次は皇帝や妃嬪が狙われる可能性があると思った英鈴は、皆を守るために良薬で毒を不能にする賭けに出て…?書き下ろし。
皇帝・朱心から妙に気に入られ、専属のお薬係に着任。さらに、官女から貴妃に昇格した英齢。ところが、後宮内にて最近『英鈴特製の安眠茶』が出回っているという噂が。身に覚えがないのに、薬茶を飲んだ嬪が中毒症状を起こしたことで「毒を売りつけられた」と騒ぎになってしまう。しかも、そのせいで皇帝のお薬係を解任されることに。窮地に陥った英鈴は、身の潔白を証明するために後宮内を探り始める。しかし、薬茶の正体を掴むと同時に、踏み込んではいけない『5人目の妃』の謎が絡んできて…?
『不苦の良薬』-苦くない、誰でも飲みやすい良薬こそ至高。後宮の官女・英鈴は、そう志して女だてらに薬師を目指している。ある日、後宮で薬茶を売り始めると、珍しい処方に興味を持った皇帝から呼び出される。すると、「甘党の余のために、苦い薬を飲みやすくしてほしい」と、皇帝専属のお薬係に任命された。処方を気に入られた喜びも束の間、妃に昇格すると言われてしまい…?「私が目指しているのは、妃ではなく薬師です!」皇帝のお気に入りが「おいしい処方」を掲げて活躍する、中華おくすり物語!
母が営む小さなクリーニング店を手伝っているみさきには、憧れのお客様がいる。謎多き美女の橘千尋様。仕事中のみさきが男性に絡まれていると、来店中だった千尋が助けてくれた。けれど「順番くらい頭の悪いクソガキでも分かりますよ」とすごんだのは男性の低い声。橘様は実は男性!?それがきっかけで、みさきと千尋はお店で起こる小さな謎を一緒に解明することに。-ポケットの中にはとんでもない秘密が眠っているのかも?クリーニング屋さんのふんわりライトミステリ!
「きみは私に逆らえない」ベル・ローズは絵画の真贋を見極める瞳を持ちながらも、忌まわしい事件をきっかけに絵筆を握れなくなっていた。ある夜、謎めいた美術館長ユアン・ギャレットに出会い強引に唇を奪われ、再び描くことを迫られる。尊大な態度のユアンに戸惑いながらも、強く逞しい腕に抱かれ、彼の右手が絡められた時…。キスを重ね合い秘密だらけの関係が深まってゆく。