著者 : 和泉弐式
なにが青春だ。どいつもこいつも、恋だの部活だの遊びだの、楽しそうにしやがって。俺には友達もいない。恋人もいない。部活にだって入ってない。青春なんて、くそだっ。-そう思っていた。彼女に出会うまでは。汚れた階段。床が抜けそうな廊下。そんな古びた無人の旧校舎に、冥先輩がいた。黒い三角帽とロープをまとい、黒魔術で人を呪うことに余念がない。耳にかかる艶やかな髪をかきあげ、海のように深い瞳で俺を見て、はにかむ。「呪っちゃうからね」空が青く澄みわたり、桜舞う春。入学したばかりの高校で巡り会った、あの無垢な笑顔を、大人になった今も俺は忘れられない。
「どうして小説の編集部に配属されなきゃいけないの?」小説嫌いの春原美琴は、突然の異動に頭を抱えていた。「文芸編集者ってのはな、小説を食って生きるやつのことを言うんだよ」と語る無愛想な先輩の指導のもと、彼女は一筋縄ではいかない作家達と悪戦苦闘の日々を送ることに。そして「この本は絶対に売れるのかい?」と睨むような目で訊いてくるのは、誰もが恐れる厳格な文芸局長ー。これは、慣れない仕事に悩みながらも挫けず、成長していく美琴の姿を描く物語。
大学生になって、アパート「Bコーポ」二〇一号室で一人暮らしをはじめた僕は、入学式の日、彼と出会った。パイプのように曲がったシッポをもつ、真っ黒な毛並みの猫。孤高を愛し、クラシック音楽に浸り、ときどきコカイン(マタタビ)もたしなむ彼こそ、天才的な観察眼と推理力で難事件を解決する猫の探偵ーシャーロック。これは、そんな猫の彼と人間の僕が、まるでホームズとワトソンのような絶妙なコンビネーションで奇妙な謎に挑む、風変わりなミステリーだ。
七つの大罪のひとつ“憤怒”の力を手に入れたラファエルは、ペルガモン王国で賞金首となってしまう。追っ手から逃れるため、そして宿敵クルセウスを追うために彼が目指したのは、長年敵国として戦ってきたサルデス王国。一年のほとんどを氷雪に覆われ、氷の王国とも呼ばれるサルデスに密入国した彼が吹雪の中で出会ったのは、驚くべきことにー。復讐の念に燃えるラファエル、兄の真相を知ろうとするセルシア、そしてラファエルをひたすら慕うイブ。彼らの冒険の先にあるのは…!?王道ファンタジー、待望の第2巻!
神が死に、絶望が世界を支配する時代。愛する者のため、悪魔と契約した男がいた。世界を旅し、地獄をくぐりぬけ、波瀾万丈の人生を経験する彼は、やがて世界を救うことになるー。これぞ王道!胸高鳴る、壮大な冒険ファンタジー!!
英雄機関の捕虜となり、その秘密基地内で拷問のような実験を施される戦闘員21号。彼の目論見は、英雄たちの機密情報を奪い、持ち帰ること。しかし幽閉されている部屋から脱出する術は、まったくと言っていいほどない。21号にチャンスはあるのか?そして彼の生還を待つ22号たち悪の戦闘員の運命は…!?長きにわる悪と正義の戦いに、いよいよ決着がつくときがきたー。
廃止処分をまぬがれた、悪の組織の戦闘員たち。いまは亡きジャバウォックの悔しさに想いを馳せながら、戦闘員21号や22号は、次こそは英雄たちを倒そうと日々、奮闘していた。一度は英雄を追い詰めたのだ。あと少しの努力で夢は叶うはず…。そう信じる戦闘員たちだが、思うように事態は好転しない。苦悩する彼らを助けるべく、悪の組織アルスマグナの幹部パラケルススが新たな怪人を生み出す。その怪人の名はー。悪の組織の下っ端戦闘員21号の、心燃える熱血アクションストーリー。
俺は21号。悪の組織の下っ端戦闘員だ。キーって叫びながら、変身ヒーローにアッサリ倒されちゃう、全身黒タイツのアレだよ、アレ。キー。毎度毎度、新たな怪人に率いられ、懲りもせずにヒーローへと挑み、敗北ばかりの日々。ほんと、よくみんな飽きねぇな。というか、ヒーローに勝つなんて、無理に決まってるじゃん。そんなある日、史上最強の怪人“ジャバウォック”が誕生したという噂が流れたのだが、なんとソイツはー。怪人ですら敵わない無敵のヒーローに挑む、雑魚戦闘員の熱血ストーリー。