著者 : 定金伸治
十字軍に完全に包囲された聖都、我を失い、心を幼少期に捕われてしまったエルシード、命の終わりが迫るサラディン…。ヴァレリーはイスラム軍を率い、リチャード獅子心王に乾坤一擲の戦いを挑む。数多の命を散らせ、莫大な費えをもたらし、東西の憎しみを増幅させた聖戦。イエスを捨てた青年は、この巨大な戦いにいかなる幕を引くのかー。奔放な想像力で世界史上の画期を描いた名篇、ここに堂々完結!
聖都イェルサレムは、リチャード獅子心王率いる第三次十字軍によって包囲された。これまでの心労が祟ったサラディンは病に倒れ、心身に傷を負ったヴァレリーも陣頭に立てない状態にあった…。打つ手がないまま窮地に追い込まれたイスラム陣営に対し、十字軍へと走ったかつての仲間、“蒼狼”キヤトの軍略が牙を剥くー。定金伸治の贈る名篇、危殆の第五弾!
からくもアスカロンを脱出し、聖都イェルサレムに帰還したヴァレリーたち。そこにリチャード獅子心王からもたらされたのは、アスカロンの永久支配権と引き換えに、半年間の休戦を求める使者だった。サラディンの意を受けて敵地に赴くヴァレリー、和戦を巡る対立から動揺するアイユーブ朝内部。そして、遂にヴァレリーの愛する者たちの血が流れるー。定金伸治の贈る名篇、哀惜の第四幕!
ラスカリスとルイセによって、ようやく救い出されたヴァレリー。しかし彼は、深い傷を癒すいとまもなく、次なる戦場・アスカロンへと向かう。自らの身に着せられた裏切り者の汚名をすすぎ、イスラム世界を彼の大切な女性を守るために…。そして、リチャードよりアスカロン攻めの首将に任じられたのは、ウィルフレッド・アイヴァンホー。若き獣が、燃え立つような闘志とともに大軍を率い、アスカロンの城壁に迫るー!定金伸治の贈る歴史的名篇、二将の魂がしのぎを削る、峻烈の第三弾!
1191年秋。アッカを占領したリチャードら第三次十字軍は、サラディン自らが率いる軍を破り、要衝ヤーファへと進撃した。帝王サラディンが本隊を立て直す時を稼ぎ、イスラム勢力を瓦解から救うため、王妹エルシードはたった五千の兵でリチャードに立ち向かう。そしてその時、ヴァレリーが立案した捨て身の策とはー。定金伸治の歴史的名篇、激甚の第二弾!
時に12世紀。欧州諸侯は主の名の下に、聖地奪還の師を出した。燎原の火の如く押し寄せる大軍を前に、瓦解寸前のイスラム勢力を結集して立ちはだかるは、英雄王・サラディン。その幕下に“キプロスの痴人”と呼ばれる西欧人の青年・ヴァレリーが身を投じ、王妹エルシードと出会う時、激烈なる聖戦の幕が上がるー!定金伸治の歴史的名篇、ここに再誕!