著者 : 柳すえ
22歳女子、実家のバスタブで暮らし始める 「人間は、テンションが高すぎる」-- 磯原めだかは、人とはちょっと違う感性を持つ女の子。 ちいさく生まれてちいさく育ち、欲望らしい欲望もほとんどない。物欲がない、食欲がない、恋愛に興味がない、将来は何者にもなりたくない。できれば二十歳で死にたい……。 オナラばかりする父、二度のがんを克服した母、いたずら好きでクリエイティブな兄、ゆかいな家族に支えられて、それなりに楽しく暮らしてきたけれど、就職のために実家を離れると、事件は起こった。上司のパワハラに耐えかね、心を病み、たった一ヶ月で実家にとんぼ返りしてしまったのだ。 逃げ込むように、こころ落ち着くバスタブのなかで暮らし始めることに。マットレスを敷き、ぬいぐるみを梱包材みたいに詰め、パソコンや小型冷蔵庫、電気ケトルを持ち込み……。さらには防音設備や冷暖房が完備され、バスルームが快適空間へと変貌を遂げていく。 けれど、磯原家もずっとそのままというわけにはいかなくて……。 「このライトノベルがすごい!2023」総合新作部門 第1位『わたしはあなたの涙になりたい』の【四季大雅×柳すえ】のコンビで贈る、笑って泣ける、新しい家族の物語。
全身が塩に変わって崩れていく奇病“塩化病”。その病で母親を亡くした少年・三枝八雲は、ひとりの少女と出会う。天才的なピアノ奏者である少女の名は、五十嵐揺月。彼女のピアノに対する真摯さと、その繊細な指でいじめっ子の鼻をひねり上げる奔放さに、八雲は我知らず心惹かれていく。高校へと進学し、美しく成長した揺月はイタリアへ留学してしまう。彼女と自分との間にある圧倒的な差を痛感した八雲は、やがて小説を書き始める。揺月との再会はある日突然訪れたーそれが自分の運命を大きく変えることを、彼はまだ知らなかった。第16回小学館ライトノベル大賞大賞受賞