著者 : 栗原ちひろ
城ヶ崎家に嫁ぎ一年。天涯孤独だった蒼は、今では亡き父の背中を追い医者を目指して学びながら、夫・宗一の看護を務め、夫婦の時間も重ねている。初めての誕生日に、吸血鬼騒動の調査、雪の温泉旅行。旦那様の愛を一身に受け、秀でた観察眼と知識で日常に潜む謎を解きつつ、学友にも恵まれてーーこの先の未来を考えたとき、唯一影を落とすのは、宗一の体を蝕む病のこと。しかし蒼の「サトリの目」は、その謎を解く糸口を見出すーー! 帝都シンデレラロマンス、第2章!
幼い頃に火事で全てを失い、劣悪な環境で働く蒼。天性の観察眼と記憶力で苦境を生き抜く彼女の心の支えは、顔も知らない支援者“栞の君”だけーしかしある日、ついに対面できた彼・城ヶ崎宗一は、原因不明の病魔に冒されていた。宗一専属の看護係として城ヶ崎家に嫁ぐことになった蒼は、一変した生活に戸惑いながらも、夫を支えるために医学の道を志すがー?文明華やかな帝都・東京。「サトリの目」で様々な謎を解明しながら、愛されること、恋することを知る少女の物語。
虚弱体質の療養のため、小学校卒業までを過ごした亡き祖母宅を訪れた嘉月は『思い出帖』という不思議な帖面を持つ三尾の狐のあやかし・仙狐と出会った。 仙狐は記憶を喰うあやかしで、喰われた記憶は忘れられ『思い出帖』に描かれるという。 親友を思い出せないことに気づいた嘉月は記憶を取り返そうとするが、仙狐が喰うのは「どうしても忘れたい」と願われた“辛い記憶”だけ。 嘉月が失った記憶には親友の秘密と仙狐の犠牲が隠されていて……。 懐かしさと切なさが胸を締めつける、あやかし郷愁譚。 005 序章 009 1 ただいま、おばあちゃん 048 2 記憶喰い 088 3 妖怪屏風 136 4 憑きもの落とし 169 5 ものわすれの神さま 227 6 新しい約束
「潮時、か」田中庸は電車の中で独りごちた。出版社で働き始めて6年目。大御所作家を怒らせ、スランプ中の若き女流作家・些々浦空野に担当替えとなったのだ。一度は編集者としての未来に見切りをつけようとした庸だが、空野のデビュー作に衝撃を受け、新作企画を持ちかける。しかし空野は“書いたことが現実になるため執筆できない”と言い出して…。そんなある日、庸は空野が描いた物語をなぞるように、奇妙な事件に巻き込まれる。若き小説家をめぐるビブリオ・ファンタジー、開幕!
戦前に沈んだ謎多き難破船の回収品調査のため、豪華客船に乗り込んだ鷹栖晶と相棒の音井、そして森木。調査開始早々悪魔の気配を感じ、回収品がかつて日本に存在した悪魔研究機関・ファウスト機関が密かに日本に持ちこもうとしていたものだったことを知る。奇しくもバチカン、WMUA、そして秘密結社が船上に集結、ファウスト機関の遺品を巡り、三つ巴の抗争が勃発した。そして明らかにされていく回収品の秘密。「晶。僕はまだ君のことが好きだ」音井を尻目に、悪魔交渉人・晶の最後の事件が幕を開ける。
横浜の外れに佇む寂れた美術館に勤める怠惰な学芸員・鷹栖晶には、もうひとつの顔がある。それは悪魔を視認できる唯一の人間として、彼らと交渉し悪魔にまつわる事件を調停すること。悪魔交渉人として、ある幽霊マンションの調査を託された晶は、相棒である人間の肉体を着た悪魔・音井、晶の健康管理を担当する森木と3人で現地へ向かう。そこは、悪魔の罠が張り巡らされた違法建築マンションだった。内部で出会った哀れな配達員や五得会の霊能者と共に、悪魔が仕掛ける「脱出ゲーム」に挑む晶だがー。
横浜の外れに佇むWMUA・NITTOH美術館。ここで働く怠惰な学芸員・鷹栖晶のもうひとつの仕事は、悪魔を視認できる唯一の人間として、人の肉体を着た悪魔・音井を相棒に、悪魔と交渉すること。横浜をあげてのアートプロジェクトのための会議で、晶は植物と建築の共生を謳う建築家・新田と出会う。彼からは仄かに悪魔の気配がした。晶を気に入った新田は秘密を囁くー「僕は爆弾魔に狙われている」と。その言葉どおり、爆破事件が連続して起こっていた。爆弾の破片さえ見つからないという奇妙な事件が…。
横浜の外れに佇む寂れた建物、WMUA・NITTOH美術館。ここに勤める怠惰な学芸員・鷹栖晶には、もうひとつの顔があった。それは、存在証明不可能生命体ー通称・悪魔を視認できる唯一の人間であること。そのため晶は、エジプトで事故死した親友・音井遊江の肉体に憑依した謎の悪魔と不本意ながらコンビを組み、他の悪魔と交渉して彼らにまつわる事件を解決する任務を負っていた。ある日、美術館に持ち込まれた謎の壺の調査を続けるうち、晶と遊江は、『F機関』を巡る陰謀に巻き込まれるー。
「誓いますー俺の女王陛下。永遠に、あなたと共に」…舞台は、世紀の博覧会が間近のコローニアへ!ウィルとアンジェリンは兄弟のふりをして市街に潜伏し、新政府とリナルドの動向を探る。きたるべき決戦に備え、“毒舌幽霊執事”エルネストの復活の儀式も行われるのだが…?故国のために世界征服を夢見る少女と、私欲のために世界を壊そうとする男。双方の想いをのせ、絢爛たる大博覧会は開幕するー!白金の王女と黄金の騎士ー純粋に想いあうふたりが辿り着いた、理想の王国とは。
「-私が世界を征服したら、あなたは私の“騎士”になってくれるか?」世界を揺るがした大戦争から2年。かつてコローニアの英雄と称えられ、いまは中立国で若隠居を決め込んでいるウィルのもとに、少々危険そうな依頼が舞いこんだ。海岸で出会った依頼人ーアンジェリンは、白梟を連れた自称・天才錬金術師という怪しい美少女。おまけに、やたら美形で毒舌な執事の幽霊がまとわりついていて…!?“元英雄”と“亡国の王女”。ふたりの運命が交わり、輝かしき王国の物語は動き始めた。
創造主=時無しの人形師に最も愛された最高傑作、人形の女王・セレネ。心を持っているのに体を動かせず、喋ることもできないように作られたセレネは、長い長い時間、真っ暗な霊廟の中で迎えが来るのを待っていた。そこに現れたのは、墓荒らしを追ってきた人形師のアーセル。セレネが魂持ちだと見抜いて工房に連れ帰ったアーセルの手により、止まったままのセレネの「人生」は動き始めてー?人形師と人形の禁断の恋、そして魔抱石の秘密…人形と人間の壮麗なるラブストーリー、感動の終幕。
十五年間外に出ず、美しい従者のヴィリと二人きりで育ったクリステル。彼女にとって、ヴィリと図書室の本たちが世界の全てだった。そこへ突如「墓守」を自称する青年ルカが現れる。彼がもたらしたのは、クリステルの住む「円環都市」が三十年前に死滅した街だという事実と、ヴィリを破壊するための「滅びの鍵」-ヴィリは、父がクリステルに遺した人形だったのだ。クリステルは壊れかけのヴィリと共に廃園の街から旅立ち、世界の真実と「恋」に目覚める…。美しき退廃世界に咲いた、珠玉の恋物語。
人形は夢を見る。恋もする。初めての恋に落ちたら、胸の魔抱石に性別を与えられ、人間になるー。イファは、数カ月前に生まれた“魂持ち”の人形。いつか運命の恋をして立派な男になるまで、人形師のヘィディや弟子のアーセルと楽しく暮らすはずだった。突然の別れも、その先に待ち受けていた“水葬王”フォルトナートとの最高で最悪な出会いも、そしてまさか自分が“女の体”になってしまうなんて、全くの予想外で…!?恋をするすべての人へ贈る、栗原ちひろの新境地ラブファンタジー。