著者 : 瀬那和章
豚になるな。狼になるな。ただ強き獣になれ。 三百年の歴史を刻む星殷国には、建国以来、受け継がれている契約があった。それは代々、東方の少数民族で特異な力をもつ『影守の民』の巫女を皇后に迎えること。 だが、新皇帝瑛学と恋仲にあった巫女ソマリが皇后に迎えられた半年後、契約は最悪の形で破られる。 妹のククナは姉の復讐のため、宮女として後宮に潜り込むが、美貌の皇子・白悠に気に入られてーー。 心に獣を宿す少女が人の皮を被ったケダモノたちを狩る、壮絶なる中華後宮復讐譚。 序幕 この世で一番幸せな花嫁 第一話 獣と仮面の少女 第二話 仁の名君 第三話 羅ごう閣の鬼神 第四話 星烙の夜
たった一人の家族だった母親を病気で亡くした高校二年生の新田由奈。 母の葬式の日、そんな彼女の前に突然、父親を名乗るおっさんが現れた。しかも2人も!? 金髪でチンピラ風の竜二と、眼鏡でエリート官僚風の秋生。「今さら父親なんて認めない!」と反発するが、一つ屋根の下で暮らすことになってしまいーー。 不思議な共同生活が紡ぐ新しい家族のカタチ。その中で知った母の意外な一面と残された想い。 あたり前に近くにいる人が愛おしくなる、いびつでおかしな親子の物語。
それは、ピアノに神さまをおろす仕事ーー 心に触れる「音」を作る調律師たちの物語。 念願かなって町の小さな調律事務所に就職が決まった幹太は、業界内で「エスピー調律師」と揶揄される時子の助手として働くことに。シンプルな黒スーツに鋭い目つき、無愛想な態度ーー時子の醸し出すエスピーのような雰囲気に最初は尻込んでいた幹太だが、彼女の天才的な手腕と真摯な仕事ぶりに尊敬の念を抱き始める。 依頼人たちが望むさまざまな「音」を作り上げるために奮闘し、ときにピアノと音に隠された謎を解き明かしてゆく時子たち。そして調律が終わり、ピアノに神さまがおりた瞬間、それぞれの依頼人の心に小さな奇跡が訪れるーー。
妻子ある男を好きになった長女、わがままな恋人に振り回される次女、ひたすら恋に臆病な三女。神戸の街で一緒に暮らす三姉妹の恋を、三篇の短編で綴る、切なくて優しいラブストーリー。
町内で人形が盗まれるという怪事件が続発。『隠れ謡』 の関与を疑い調査を開始したハルとコトだが、何故か町内祭のステージに出演することになってしまう。その上、ハルがミュージカルに出演すると聞きつけた、お兄ちゃんLOVEな妹・万里を巻き込んで 『長月祭』 開催に向け一致団結する 『神話収集クラブ』 の一同。そんな中、突如練習を休むと言い出した砂原さん。……彼女の真意とはいったい?
知らぬ間に学年のトップ3美少女に数えられているほどの美貌(?)の持ち主、文野ハルは、ある朝、校舎でウサギの人形を拾う。それはハルが幼い頃に出会った『月ウサギの君』との思い出の品。この学校に想い人がいるかもしれないと知ったハルだが、そんな中、クラスメイトの砂原さんに弱みを握られ、何故か彼女の“仕事”を手伝うことになってしまう。歌に憑いた穢れを祓う“歌祓の巫女”っていったい何?しかもハルの“可愛さ”に関わる知りたくない秘密まで知っちゃってー!?ドキドキ“未体験”ラブコメ登場。
七夕も近づいた夏のある日。満月堂に“珍客”が訪れる。聖獣界の主、聖獣王は、この世界の『観測者』ツクモのアシスタントとして働くクルンを“審査”しに来たのだという。ところが審査日当日、楽勝かと思われたテストは、予期せぬトラブルで……。傷心から満月堂を飛び出してしまったクルンを追って、ツクモと新太は聖獣界に向かう──!? 七夕パーティーでのカラオケデュエットなど、ツクモとの“距離”が近づく(?)一方で、俺は、クルンとの関係もまた変化していたことに気付いていなかった。ちくしょう、行くなクルンっ!!
「満月堂」の本を無料レンタルできる権利と引き換えに、満月ツクモの裏家業である“世界修復”を手伝うことになった桐島新太。相変わらず傍若無人なツクモに振り回される毎日だけど、そこは惚れた弱みというヤツで(?)。健気なオコジョ少女・クルンの癒しもあって、こんな“関係”も悪くないなと思い始めていたのだが……。 そんなある日、ツクモの前に突如謎の少女が現れた。「あなたには観測者としての才能がありません」──って、何そんな今さら的なことをエラそうに言ってるんだこの人は!? 果たして、この少女の目的とは?
「人生教訓メモ」を手に平穏な読書ライフを望む、高校生・桐島新太。新太は、不思議なモノが“視え”てしまう困った体質の持ち主で、今日もそのせいでバイト先をクビになってしまう。傷心状態の新太が、偶然見つけた貸本屋「満月堂」に立ち寄ると、そこにはやけに態度の大きな店員の女の子・ツクモと、バイト先で見かけたオコジョ少女がいた! ツクモは、自分を“世界の設計図”を記録する“観測者”だと言い、新太の不思議なモノが見える理由を教えるかわりに、仕事を手伝うように命令する。しかも手伝わないと世界が終わるーーって、ここ貸本屋だろ!?
夜に紛れ、彼らは静かに扉を叩く。耳を傾けてはいけない。その声は、心を惑わせるから。決して、開けてはいけない。その手が差し出すのは、悲劇だけだから。彼らの名は『グリムザール』--異界の深淵を覗く者。 今夜もまた誰かが扉を開き、悲劇が一つ落とされた。 とあるオフィス街で起こったエレベーター乗客失踪事件。そして、その裏側で次々と殺害される“異界使い”たち……。 二つの事件が交錯し、異界の深淵へと至る通過儀式が始まる時、“反翼の魔女”が再び降臨する!
深夜の駅。 人気のないコインロッカー。 そこで一人の少女が闇に引きずり込まれ姿を消したーー。 人は死ぬと “異界” に落ちる。 それがこの世界のルール。 だが、未練を残して “異界” に落ちた魂は、異形の姿となり現世に戻り、世界の侵食を引き起こす。 失踪中の兄から届いた手紙により、世界のバランスを保つ “異界使い” の存在を知った霧崎唯人。 兄の行方と少女の失踪の謎を追う内に出会う、“闇” の世界。 狩る者と狩られるモノーー 狂気に満ちた饗宴の後に、暴かれる真実とは……。 深紅の悲しみに彩られたサイコミステリー。