著者 : 瀬那和章
たった一人の家族だった母親を病気で亡くした高校二年生の新田由奈。葬式の日、由奈の前に、父親を名乗るおっさん2人が現れる。金髪でチンピラ風の竜二と、眼鏡でエリート官僚風の秋生。「今さら父親なんて認めない!」と反発するが、一つ屋根の下で暮らすことになってしまいー不思議な共同生活が紡ぐ新しい家族のカタチ。それぞれ持ち寄った思い出から浮かび上がる、母の意外な一面と残された想い。あたり前に近くにいる人が愛おしくなる、いびつでおかしな親子の物語。
念願かなって、町の小さな調律事務所に就職した幹太は、業界内で「エスピー調律師」と噂される時子の助手として働くことに。シンプルな黒スーツに鋭い目つき、無愛想な態度ー彼女の醸し出す雰囲気に臆する幹太だが、その天才的な手腕と真摯な仕事ぶりに尊敬の念を抱き始める。依頼人が望む「音」を作るために奮闘し、ときにピアノと音に隠された謎を解き明かしていく時子たち。調律が終わり、ピアノに神さまがおりた瞬間、様々な依頼人の心に温かい奇跡が訪れるー。
七年前、年下の男の子に、好きだといわれた。それから、手も握らせないまま恋人のような関係をずっと続けている。そして、私はまた、彼とは別の人を好きになるー(好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く)。神戸の街を舞台に、一緒に暮らす三姉妹それぞれの恋の、始まりと、真ん中と、終わり。同じ時間を過ごす三人の恋を、三篇の短編で描く、切なくて優しいラブストーリー。
七夕も近づいた夏のある日。満月堂に“珍客”が訪れる。聖獣界の主、聖獣王は、この世界の『観測者』ツクモのアシスタントとして働くクルンを“審査”しに来たのだという。ところが審査日当日、楽勝かと思われたテストは、予期せぬトラブルで…。傷心から満月堂を飛び出してしまったクルンを追って、ツクモと新太は聖獣界に向かうー!?七夕パーティーでのカラオケデュエットなどツクモとの“距離”が近づく(?)一方で、俺は、クルンとの関係もまた変化していたことに気付いていなかった。ちくしょう、行くなクルンっ!とことん“残念”なキャラクターたちが織り成すファンタジック・ラブコメ、第3弾。
「満月堂」の本を無料レンタルできる権利と引き換えに、満月ツクモの裏家業である“世界修復”を手伝うことになった桐島新太。相変わらず傍若無人なツクモに振り回される毎日だけど、そこは惚れた弱みというヤツで(?)。健気なオコジョ少女・クルンの癒しもあって、こんな“関係”も悪くないなと思い始めていたのだが…。そんなある日、ツクモの前に突如謎の少女が現れた。「あなたには観測者としての才能がありません」-って、何そんな今さら的なことをエラそうに言ってるんだこの人は!?果たして、この少女の目的とは?やっぱり“残念”なキャラクターたちが織り成すファンタジック・ラブコメ、第2弾。
「人生教訓メモ」を手に平穏な読書ライフを望む、高校生・桐島新太。新太は、不思議なモノが“視え”てしまう困った体質の持ち主で、今日もそのせいでバイト先をくびになってしまう。傷心状態の新太が、偶然見つけた貸本屋「満月堂」に立ち寄ると、そこにはやけに態度の大きな店員の女の子・ツクモと、バイト先で見かけたオコジョ少女がいて…。ツクモは、自分を“世界の設計図”を補修する“観測者”だと言い、新太の不思議なモノが見える理由を教えるかわりに、仕事を手伝うように命令する。しかも手伝わないと世界が終わるーって、ここ貸本屋だろ!?ちょっと“残念”なキャラクターたちが織り成すファンタジック・ラブコメ。
夜に紛れ、彼らは静かに扉を叩く。耳を傾けてはいけない。その声は、心を惑わせるから。決して、開けてはいけない。その手が差し出すのは、悲劇だけだから。彼らの名は『グリムザール』-異界の深淵を覗く者。今夜もまた誰かが扉を開き、悲劇が一つ落とされた。とあるオフィス街で起こったエレベーター乗客失踪事件。そして、その裏側で次々と殺害される“異界使い”たち…。二つの事件が交錯し、異界の深淵へと至る通過儀式が始まる時、“反翼の魔女”が再び降臨する!第14回電撃小説大賞“銀賞”受賞作、第2弾。
深夜の駅。人気のないコインロッカー。そこで一人の少女が闇に引きずり込まれ姿を消したー。人は死ぬと“異界”に落ちる。それがこの世界のルール。だが、強い未練を残し“異界”に落ちた魂は、異形の姿となり現世に戻り、世界の侵食を引き起こす。失踪中の兄から届いた手紙によって、世界のバランスを保つ“異界使い”の存在を知った霧崎唯人。兄の行方と少女の失踪の謎を追ううちに出会う、“闇”の世界。狩る者と狩られるモノー狂気に満ちた饗宴の後に、暴かれる真実とは…。第14回電撃小説大賞“銀賞”受賞。深紅の悲しみに彩られたサイコミステリー。