著者 : 真野朋子
あたし、吉長真由子。新学期には高2になる。春休みに東京にやってきた、イトコの智恵美ちゃんといっしょに、原宿で“別人ごっこ”をして遊んだの。でも、それがきっかけとなって、竹中尚人クンと知り合ったんだ…。
女の子にとって、クリスマスイブは特別な日。ましてその日が、誕生日だったりしたら…。わたし、山村理子は、まさにそのケース。彼氏のいないわたしは、去年、「来年のクリスマスまでにぜったい彼氏、見つけるから」って、親友の春香に宣言しちゃったんだ。それから10か月がたち、誕生日まで、あと2か月だっていうのに、彼氏がいない!あー。そんなあたしを、さすがにみかねたのか、春香が、大学生の保樹さんを紹介してくれたの。
あたし、森下なつみ。高校2年生。どこにでもころがっていそうな、ごくフツーの女のコ。だけど、あたしにはひとつ、クセみたいなものがある。ズバリ“面食い”。そう。ぜったい顔がよくなくちゃダメなの。そんなあたしが、ひと目ぼれした相手は、家の近所のレンタル・ビデオ店でバイトしている大学生の高橋隆一さん。あたしの理想にぴったりの男のコなんだ。あたし、彼女になってみせる。
あたし、朝香萠。高校2年生。1年の時から付きあっている牧野淳一とは、まわりの友だちもうらやましがるほどの仲のいいカップル…。でも、2年になって別々のクラスになってから、おたがい、少し熱もさめてきたんだ。そんな時、淳一が、バイト先で知りあった、同じ年の小森貴弘を紹介してくれて、3人で映画やコンサートに行くことが多くなったの。あたし、最初は、貴弘のことを、とっつきにくくて、イヤなヤツだと思ったんだ…。
あたし、篠原ちさ。平河女学園2年生。今日は、久しぶりのデートなの。相手は、すぐそばの男子高の土屋政和。ロック・バンドのリード・ボーカルで、わりとかっこいいんだ。あたしたち、つきあいはじめてから、もう半年になる。いちおう、キスの経験はあるけど、それ以上は何もない。あたしはそれで十分満足なんだけど…。それとも、オクテなのかな?ところが、政和に誘われちゃったんだ。「どこか行こうよ。泊まりがけでさ」って…。
あたし、有村香苗。フツーの高校2年生。そのあたしが生まれて初めて書いた小説が、新人賞を受賞したから、もう大変な騒ぎなの。でも、あたしが本当に小説を読んでほしいのは、たったひとり。中学の時のBFで、1年半前に突然姿を消した中田雪彦が、その人。雪彦!あたし、あなたのために書いたの。あなたをモデルにして、思い出を書いたの。万が一、どこかでこの小説を読んだら、絶対連絡してネ!あたし、待ってるから!