著者 : 笹井一個
“戦慄の19歳”、再び! ゼロ年代きってのマスターピースがいま蘇る……! 佐藤友哉デビュー20周年記念復刊企画 女子中学生・冬子(とうこ)が「本物の衝動」に突き動かされてたどり着いた見知らぬ孤島。 そこで出会った青年から冬子はある男の「監視」を依頼される。 密室状態の岬の小屋に完璧にひきこもり、ノートパソコンに向かって黙々と作業を続ける男。その男の「監視」をひたすら続ける冬子。双眼鏡越しの「見る」×「見られる」関係が逆転するとき、一瞬で世界は崩壊する! 「書く」ことの孤独と不安を描ききった問題作中の問題作。あるいは傑作。 〈解説=島本理生〉 時代が変わった今もこの物語はあいかわらず異端で、それでいて小説や読者に対して、これほど普遍的な問いを投げつける作品はないーー
ゼロ年代きってのマスターピース〈鏡家サーガ〉がいま蘇る……! 佐藤友哉デビュー20周年記念復刊企画 お祭り騒ぎは、もうお終い。 今回は愛をめぐる三つの物語だ。 暗澹たる日々に埋もれた無様な青年。 悪意から逃れられない少女を護り続ける少年。 密室情況の屋敷の中で繰り広げられる、贖罪を含んだ惨殺劇。 それらは歪んでいて、壊れていて、間違っている。 でも確かに愛の物語なのだ。 俺は行動を開始した。 その目的は、水没した全てのものを引き戻すため。 そして、その果てに浮かび上がる真相。 そこにはもう、馬鹿げた世界は存在しない。 〈解説=福嶋亮大〉 いまどき、これほど凶暴でとげとげしい小説は世界のどこにもない。
ゼロ年代きってのマスターピース〈鏡家サーガ〉がいま蘇る……! 佐藤友哉デビュー20周年記念復刊企画 青春は美しくない。 私の場合もそうだった。 二年B組に現れた転校生。校内で発生した密室。 それらを起点として動き出す、不可解な連中。 コスプレを通して自己変革する少女。 ぐちゃぐちゃに虐められる少女。 人間しか食べられない少女。 ドッペルゲンガーに襲われた少女と、その謎を追う使えない男。 そして……予言者達。 私は連中の巻き起こす渦に呑まれ、時には呑み込んで驀進を続けた。 その果てに用意されていたのは、やはりあの馬鹿げた世界。 ……予言。あの時の私は、それで何を得たのだろうか。 ま、別に知った事じゃないけどさ。 〈解説=上遠野浩平〉 どうして夢のために、周囲のすべてに喧嘩を売らないんだ?
ゼロ年代きってのマスターピース〈鏡家サーガ〉がいま蘇る……! 佐藤友哉デビュー20周年記念復刊企画 妹が死んだ。自殺だった、と僕のイカれた家族は云うが。 そして現れた男。手にはビデオ。内容は妹のレイプ中継。 渡されたのはレイプ魔どもの愛娘達の克明すぎる行動表。 こうされちゃあ、する事は一つ。 これが自然な思考だね。 そして僕は、少女達の捕獲を開始した。 その果てに……、 私は病気。でも誰にも相談できない。 絶対に云えないよ。 七十七人の少女を屠った連続殺人犯、突き刺しジャック。 彼が少女を殺す時……彼の視覚が私の視覚に接続するの。 怖いよ。もう駄目。しかも彼は、私の存在を知っている。 そして私は、彼に立ち向かってしまった。 その向こう側に、 こんな馬鹿げた世界が用意されているなんて知りもせず。 〈解説=斜線堂有紀〉 『フリッカー式』を読んで、強烈に影響された私は、このような小説を書きたいと思って小説家を目指すことになった。人一人の人生を変えてしまうのだから、『フリッカー式』は恐ろしい。