著者 : 芝村裕吏
遙か昔ーー、高度な文明を誇ったアトランティス大陸が海没したのち、遺民たちが多島海に散らばり、数多の都市国家を形成していた時代。 都市国家・コフの貴族“黒剣(くろがね)家”に生まれたフランは、奴隷であった母を父に殺され、陰湿な次兄・オウメスからは虐待を受けながら、難民のみを友として不遇に育った。 しかし、勇猛な長兄・トウメスから命じられ、婚姻の使者として赴いた隣市・ヤニアで“小百合(さゆり)家”の二人の姫と出会ったことが、フランの境遇に大きな転機をもたらす。 姉で人馬のイルケと、美しさを謳われる妹のオルドネー。フランが彼女たちとともに歩むことを決めたとき、多島海の歴史は新たな道を辿り始める……。 いま、幾星霜を経て、失われた年代記が再び語られるーー。 『マージナル・オペレーション』『遙か凍土のカナン』のタッグが贈る、超巨弾ファンタジー、ここに開幕!
時に、一九一四年。最愛の妻・オレーナを失い、東シベリアの地でひたすら政務に邁進する新田良造に、世界大戦の激動が迫りつつあったーー。 物価は乱高下し、大規模な武器需要が東シベリアを急速に成長させるいっぽうで、ロシア帝国は揺らぎはじめる。 そして、大樹のまさに倒れんとする時、歴戦の将軍たちが凍土に集い、遂に新たなる国・シベリア共和国が産声をあげる。だが、その前途には、元首のかつての祖国・大日本帝国が敵として待ち構えていた……。 芝村裕吏×しずまよしのりが贈る『マージナル・オペレーション』前史にして、ユーラシアを股にかけた恋と冒険の旅路ーーここに堂々完結!
赤い日本による襲撃をかわしつつ、イランーかつてのペルシャを目指すアラタたち。国境を越え、アフガニスタンに入った一行が見たのは、無人機が遊弋する荒廃した戦場だったー。補給もままならぬ過酷な旅路に、子供たちは次々と病に倒れ、どこに行ってもシベリアによる監視の目が光る。果たして、砂漠の果てに安息の地はあるのか。そして、シベリアはなぜアラタに固執するのか…。芝村裕吏×しずまよしのりのタッグが贈る大ヒットシリーズ、“新田の血”が時空を繋ぐ番外編、ここに完結ー!
時に、一九〇七年冬。 身重の妻を救うため、中央アジアを再訪した新田良造を待ち受けていたのは、“赤毛の族長(ジニ・イスカンダル)”の銃口と、自らを愛した“天使(ジブリール)”の見る影もなくやつれ果てた姿だったーー。 大立ち回りの末にジブリールを強奪し、帰途についた良造だったが、チタで異常気象による大雪に見舞われ、シベリア鉄道が封鎖されてしまう。 それでも帰路を急ぐ良造は、自作の橇で一路プーチンスクを目指す。 懐かしい家で帰りを待つのは彼女ではなく、彼の心を凍てつかせる哀しき報せだとも知らずに……。 芝村裕吏×しずまよしのりが贈る『マージナル・オペレーション』前史、ついに佳境突入ーー!
村はアラタの指揮した戦闘で燃え、ジブリールたちは故郷を失った。子供たちを引き連れたアラタは、サマルカンドを経由し、イランーかつてのペルシャを目指す。途次、シベリア共和国によると思われる不可解な襲撃を受け、目減りする資金を睨みながらも、一行を乗せた中古のバスは砂漠をひた走る。日本篇までの空白の一年に何があったのか。いま、ジブリールの視点から、全てが明かされる。芝村裕吏×しずまよしのりのタッグが贈る大ヒットシリーズ、再び砂漠の地へー!
老いた大国・ロシアの辺境ー凍土の地を舞台に、国作りが始まった。良造はサンクトペテルブルクに向かい、そこで集められた大量の人と物は、シベリア鉄道を通じて東方へと送り込まれる。五人と一匹から始まった国が、急激に成長していく一方、身重の妻・レナの身に異変が起きていた。見る影もなくやつれ果てた彼女の気鬱の理由は、中央アジアで夫に吐いた“嘘”にあった…。妻を救うため、良造は“危険な相棒”と共に、再び中央アジアへと旅立つー!芝村裕吏・しずまよしのりのタッグが贈る、大陸冒険浪漫譚ー絶好調の第五弾!
銃火が止み、子供たちは惑う──。 銃を置き、日本の高校に進学したサキ。様々なギャップとアラタへの複雑な感情に悩む彼女に訪れた、三者面談の日を綴った「私のトリさん」。 元娼婦であり、アラタの語学の教師であり、現在は難しい立場でアラタに接するホリー。そんな彼女は、アラタの心を縛ることができるのか? 知られざる女の戦いが描かれた「新しい首輪」。 停戦後、変わりゆく生活に適応できず、懊悩するイブン。ただ純粋に父を規範とする少年に、自らの狭い世界を打ち破る日は訪れるのか?(「若きイヌワシの悩み」) そして、2014年秋の徳島マチ★アソビで行われたアナログゲーム「マージナル・オペレーション[R]」とつながる、もう一つの日本篇「子供使いの失踪」。 全てが本篇以降の時間軸に位置する、書き下ろし4篇を収録。待望の短編集第2弾!
新田良造元騎兵大尉とコサックの姫君・レナ、そしてユダヤ騎兵グレンは、足かけ一年に渡るユーラシア横断の旅路の末、遂にロシアの地に到達した。 しかし、旅はまだ終わりではない。失脚将軍アレクセイ・クロバトキンの指南を受け、レナの“飼い主”ナボコフ氏に「挨拶」を済ませた良造たちは、シベリア鉄道に乗り、東ヘと向かう。長き鉄路の先に、楽土を築くために……。 舞台はいよいよ、シベリアへ。芝村裕吏・しずまよしのりのタッグが贈る大陸冒険浪漫譚──建国篇、ここに開幕!
グレンとジニを加えた良造たち一行は、古代の交通路を踏破し、一路ウクライナを目指していた。その途上で発見された水源近くの嶺には、人生の大半を石室の中で暮らす、一人の女の姿があった。女は良造に名乗る。“天使”とー。出会いと別れ、そして度重なる諍いの果て、良造とオレーナの関係性にも変化の季節が訪れ、物語は新たなうねりを生み出していく…。芝村裕吏×しずまよしのりのタッグが贈る『マージナル・オペレーション』前史、第三弾にして、“帰国篇”堂々のフィナーレ!
ソフィアのために、タイに渡った梶田。彼は、ソフィアのために何か為すことはできたのか…。うまくいかない人生の一コマを切り取ったハードボイルド「マフィアの日」。“最初の二四人”の一人であるハサン。父・アラタとの出会いや、彼の目から見た父の姿が語られる独白録「父について」。ライトノベル作家と編集者が、総武線の車内で見かけた赤毛の少女。彼女に話しかけたことから、事態は思わぬ展開に…。『マージナル・オペレーション』誕生秘話「赤毛の君」。アメリカ人記者、イーヴァ・クロダ。“子供使い”新田良太にはじめて接触した西側ジャーナリストによる、貴重な取材記録「ミャンマー取材私記」。そして、安定したミャンマー戦線を離れ、バングラデシュに向かったアラタとジブリールの束の間の休息を描いた「チッタゴンにて」。あの大ヒットシリーズの未収録エピソードや、その後の物語を収めた待望の短編集が登場!
日本を発ち、海路にてヨーロッパを目指す新田良造とオレーナ。しかし、上海に続きシンガポールでも襲撃を受け、旅程の変更を余儀なくされてしまう。 良造たちは、ユダヤ人騎兵・グレンの仲介でイギリス軍艦に乗船し、なんとか追っ手を撒いてインドに上陸するものの、ウクライナに辿り着くためには陸路で中央アジアを縦断せねばならない……。 そして、砂塵舞う地で一行を待ち受けていたのは、“二つ角の姫君”率いる盗賊の手荒い歓迎だった──。 『マージナル・オペレーション』のタッグが放つ凍土の英雄譚、華麗なる第二幕!
人民解放軍14万人 VS 3000人の子供たち アラタたちを切り捨てる西側諸国、裏切るミャンマー軍── 四面楚歌の状況の中、人民解放軍の大攻勢が開始される……! この劣勢(マージナル)な局面で、新田良太(イヌワシ)の作戦指揮(オペレーション)が暁を呼ぶ──。 芝村裕吏が贈る英雄譚、ついにクライマックス!
日露戦争屈指の激戦、黒溝台の戦いで奮戦しつつも負傷した騎兵大尉・新田良造。帰国後、彼にもたらされたのは、不可解な元敵国からの叙勲と、家出同然で日本にたどり着いた可憐なコサックの公女だった。公女オレーナの必死の懇願もあり、陸軍を辞める良造。そして、日本国内務省からは「オレーナに協力し、極東にコサック国家を建設せよ」という任務が与えられる。広大なユーラシア大陸を舞台に、大日本帝国の勇敢なる騎兵大尉にして、“一人目のアラタ”新田良造の戦いが始まるー。『マージナル・オペレーション』のタッグが放つ凍土の英雄譚、ここに開幕!
新宿を恐慌に陥れた戦いの後、アラタたち一行は日本を出国し、タイへと降り立った。その地でアラタを待っていたのは、“子供使い”の悪しき影響で横行する少年兵を使ったビジネスと、“あの男”との思わぬ形での再会だった。再び、ファンタジーで現実を壊すべく、戦いに身を投じるアラタだったが、僅かな油断が、子供たちーそして、彼を愛した女の命を窮地に陥れてしまう…。熱帯の戦場に血飛沫が舞う、緊迫の第3巻。