著者 : 花井愛子
高1の殊理が、銀座で出会った男のコの名前は、大西勝男クン。犬のゴンを連れて、パニクってる、そいつの誕生日ってのが…。「昭和4年8月6日」だって!?ウソみたいだけど、42年間を、タイム・スリップしてきちゃったってワケ!いまどきの男のコ、とは、ひと味も、ふた味も違うカツオくんに、殊理の心は、傾きます。けど、けど、カツオくん。あっちへ、帰んなきゃ、いけないんだよね…。
きょうは、あたし、坂本菜月が、3年間通った、八汐中学の卒業式。セレモニーは、すべて終って。お別れセンチメンタル気分も、ひと山越えちゃった、下校時。みんなの心は、帰り道のダベりんぐのほうへ、向いてしまっている。け・れ・ど。あたしは。あたしだけは!想い出の教室に、ひとつ、大きな忘れもの。それは。恋。-さあ、菜月。勇気を出して。正門前で、Uターン、するのよ!
つきあうの、やめたあとも。あなたとは、笑顔で、すれ違えるトモダチで、いたいから。沙里、16歳。明るいサヨナラ・デートします。バレンタインに、お届けする、ちょっぴり、ビターなラブ・ストーリー!
古村厚志さん。34歳。あたしたちの行きつけのサテン“シュヴァル・ブラン”のマスター。バックにキチッとなでつけた、短髪。その前髪の、ほんのひと筋だけ、たぶんわざとの、額にパラリの落っことしかた。彫りの深い、外国の映画俳優サンみたいな、顔立ち。広い肩幅。とてもとても、シャツの似合う…。あたし、椎名果林。17歳。もうすぐ、サテンをたたんで、白馬岳にペンションをつくる、という古村さんのこと、実は、ひそかに…。
冷泉学院女子部・料理クラブの、ハッピーなジンクス、それは、恋曜日。部活で、つくったお料理を、その日のうちに、恋する相手に受けとってもらえたら、ふたりの仲が、うまく行く、というのだ。だから、料理クラブの部員たちは、部活のある火曜日を“恋曜日”って、呼んでいる。思いきって告白することを“恋曜日する”って、言うんだよ。あたし、大沢瞳。冷泉女子部、中3B組。一級上の吉村寿人くんに恋曜日してみたの!
トントントン。背中、叩かれた。振り向いてみた。おっとっとォ!息を呑んじゃうような、カッコE男のコが、立ってた。「アイム・テリー」そいつが、ニコッと笑って、言ったんだ。とびっきりハンサム。眉毛、くっきり、キリリ。切れ長の奥二重マブタが、日本の男のコ以上に、りりしくて。ニコッと笑うと、日焼けした顔に鮮やかな、まっ白い歯!もう、あたし、胸ドキドキ、頭クラクラ。
カレと離れて暮らしていても、ふたりの愛は、ほんとうに、こわれてしまわないのかしら…。芸能界のトップアイドルになった裕也のことを、ひたすら想い続ける乃亜の、ピュアな、ピュアな、ラブ・ストーリー!
あたし、永田街子、中3。演劇部に入ってる。顔は、はっきし言って、美人じゃナイな。どこにでもある卵形のリンカクで、下がりぎみの眉に、どんぐり目玉。特徴は、といえば、ガハハと笑ったときの、口のデカさ。演劇部の部長は、篠原塔也。同級生。ハンサムで、スポーツ万能で、優等生。文化祭用の劇で、シェイクスピアに挑戦することになったんだけど、塔也が主役に指名したのは、冴えない、このあたしだった!