著者 : 葦舟ナツ
消えてください消えてください
大切な人がいる全ての人へ。“別れ”の意味を問う物語。「私を消してくれませんか」ある雨の日、僕は橋の上で幽霊に出会った。サキと名乗る美しい彼女は、自分の名前以外何も覚えていないらしい。会うのは一日一時間。「またね」は言わない。二つのルールを決めた僕らは、サキを消すために日々を共に過ごしていく。父しかいない静かな家、くだらない学校、大人びていく幼馴染。全てが息苦しい世界で、幽霊の隣だけが僕の居場所になっていってー。
ひきこもりの弟だった(1)ひきこもりの弟だった(1)
『質問が三つあります。彼女はいますか?煙草は吸いますか?最後にあなたはー』突然見知らぬ女にそう問いかけられた雪の日。僕はその女、大野千草と夫婦になった。互いを何も知らない僕らを結ぶのは、三つ目の質問だけ。まるで白昼夢のような千草との生活は、僕に過去を追憶させていくー大嫌いな母、唯一心を許せた親友、そして僕の人生を壊した“ひきこもり”の兄と過ごした、あの日々を。これは、誰も愛せなくなった僕が君と出会い、“愛”を知る物語だ。
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