著者 : 赤人
“魔王”竜ヶ峯桜子が“魔王”の個性を剥奪される、だって…?この間の修学旅行のあたりから、確かに竜ヶ峯の様子はおかしかった…と思う。でも、あいつが“魔王”じゃなくなるとか、そんなことになるなんてー。俺が…“A”なんて今まで呼ばれちゃいるが、結局単なる“村人”でしかないこの俺が、それをどうにか出来るもんなのか…?いや、無理だ。所詮この世界で“個性者”は特別製。俺たち一般人が何をしようとも彼らの心には届かない。だから、遠巻きに見守って、最低限“村人”に出来るレベルの助言だけをしてやればそれでいい。それ以上やれることは、まったくないはずだ…。いや…本当にそれでいいのか!?俺はあいつに…!
今回はのっけからもう不安だらけだ!学生の一大イベント「修学旅行」!それだけでトラブル満載で大変になるのは間違いないのに『TUP』-テイル・ユニバース・パークっていうテーマパークが行き先にあるから、“勇者”の翼をはじめ、個性者たちみんなが浮足立っちまってるし…!ただ、なぜか我らが“魔王”さまこと竜ヶ峯桜子だけは大人しいがーあれだ、嵐の前の静けさってやつだな、きっと。油断しないぞ俺は!どうか何事も無く終わってくれーって、え、『いにしえの魔王』って何!?竜ヶ峯以外にも“魔王”の個性を持ったやつが旅先に居んの!?この旅、マジでどーなんの!?
“魔王”竜ヶ峯桜子と、“勇者”光ヶ丘翼の生徒会選挙の火蓋が切って落とされた。クラス委員になり、選挙管理委員も兼任することになった俺・佐東は、ヒヤヒヤしながらその戦いを見守ってたわけだがーそこにもう一つでかい問題が出てきちまった。投票日の手前に行われる体育祭に、急に竜ヶ峯たちも参加するって言い出したんだ。もともと個性者は俺たち一般生徒をしっかり認識しないから、勇者の翼みたいな例外を除いて、こういう協調性が必須の行事には参加しないはずなのに…。前の文化祭のときのように国からの命令とかいうのがあるわけでもないみたいだし…一体どういうことなんだ?
というわけで季節は春。2年に進級した俺こと“村人”の佐東は、クラス替えで“勇者”の翼と一緒のクラスになった。もちろん“魔王”竜ヶ峯も今まで通り一緒だー。いやいやこのクラスはダメだろ!魔王と勇者が一緒のクラス?去年は別々だったから授業中は平和だったんだが、これじゃあもう、四六時中毎日がラスボス戦じゃねぇーか!しかも入学式のあいさつで、校長が『個性者生徒諸君の悩みは、我が校の“村人A”が誠意を持って対応いたします』とか変な宣言しちゃうし!俺の二年目の高校生活に、もはや安息の日はないのか!?
冬っていえば、イベントづくしの楽しい季節だよな。寒いことさえのぞけば、一年で一番楽しい時期かもしれない。俺ー佐東もそうだったよ。ただしそれは去年までだけどな!わかるか?イベントがいっぱいあるってことはつまり“魔王”こと竜ヶ峯桜子が、あの回りくどい人類殱滅作戦のきっかけを思いつくタイミングが多くなるってことだ。クリスマス、正月、あげくはバレンタインと、あいつが悪乗りして“勇者”であり幼なじみの光ヶ丘翼の介入を呼び、学校や町のみなさんを巻き込んで大混乱に、なんてことはもう予想できすぎて困る!高校1年の最後を飾る冬だから、なんとか無事に過ごしたいところだけど、そうも行かないんだろうなぁ、やっぱ…。
ある日“魔王”竜ヶ峯桜子と俺はスーパーでカートに話しかけている“メデューサ”の石杷実鬼灯を見かけた。物と人の区別つかないってのは個性者の中でも重度らしい。竜ヶ峯が気を使って話しかけると石杷実はなんと彼女を『普通』と言い捨てて去ってしまう。『魔王』なのに『普通』-大ショックの竜ヶ峯。そんなことがあった翌日、デッカー先生から呼び出されて行ってみるとそこには昨日に続き石杷実が。先生曰く、彼女が『個性者をやめたい』と言い出したとか。さすが“メデューサ”だけに『眼』のつけ所が違ーって感心してる場合か!いや、え、マジ?そんなことできんの!?
やっと学園祭が終わったと思ったのも束の間、次は林間学校が迫ってきやがった。当然“個性者”の連中も一緒。そして同じく当然先生は学級副委員長というだけで、単なる“村人”であるこの俺に仕切りをお願いしてくるわけで…!はぁ、今回もなんとか無事に収めないとな…って竜ヶ峯、お前が学級委員長なんだし、ただでさえ大変なんだから向こうでは人類殲滅とか企むなよ?「もももももちろんですよー!」今度はなにをしでかす気だこいつは。これはまたウチのクラスの“魔王”さまを一番警戒しなきゃいけないな。この2泊3日、気が抜けそうにないぞ…。
“個性者”と無個性な一般人である“村人”が一緒にクラス劇をやることになった。学級委員の“魔王”竜ヶ峯桜子と、副委員長であるところの俺、佐東は当然ながら仕切りを頼まれたんだが…。試行錯誤しながらどうにか“村人”代表の斉藤が劇の脚本をあげてくれたところ、その脚本がクラスの“個性者”たちからまさかの大バッシングをうけちまった。その厳しい物言いに斉藤をはじめほかの“村人”たちも完全に反発しちまって…!確かに“個性者”たちは頑固で融通がきかないが、悪い奴らじゃない。でも…斉藤たち“村人”の気持ちも当然痛いほどわかるわけで…両者の間に立つ俺と竜ヶ峯は…。
担任のデッカー先生から、“ロボット”の個性者で不登校少女・矢刳馬心の様子を見に行くように頼まれた。この間竜ヶ峯と魔王的なアイテムを探しに行った時会った、ダンボール着込んだアイツだ。なんか「殴って下さい」って頼んできて、ちょっとビビったんだが…。ともかく早速竜ヶ峯と一緒に彼女の自宅に向かってみると、彼女はー自宅の屋上からダイブ寸前。なんでだよ!矢刳馬の弟から話を聞いたところ、彼女はどうやら『頑丈な身体を手に入れるため』に頑張ってるらしいんだけどー。“魔王”の竜ヶ峯や、“勇者”の翼だけでも大変だってのに、俺、どうすりゃいいんだ…。
ここはファンタジーの登場人物を育成する学校。でも“戦士”や“魔法使い”みたいな「個性」を持った連中はごく少数。大半は“村人”程度にしかなれやしない。俺、佐東もそんな“村人”の一人なんだが、ある日“魔王”の個性を持った女の子、竜ヶ峯桜子に目をつけられちまう。小柄で大人しい良い娘なんだけど「人類滅ぼしたい」とか不意に呟くのはマジで勘弁してほしい。彼女に対抗意識を燃やす幼なじみの“勇者”の光ヶ丘翼もやっかい。こちらも超絶美少女なんだが、思い立ったら一直線の猪突猛進娘で…。板挟みの俺はどうすりゃいいんだ!?-。
ついに己に秘められた力を知ってしまった異星の王女モニカ。力に振り回されずむしろ逆に柳楽を守ってみせるとまで豪語する彼女だったのだが…。一方そのころ、発明お嬢様アリサは「ライバル誓約書」なるものを作成、モニカにサインさせて勝負を挑む。しかし、どうやらその思惑には柳楽への甘酸っぱい感情も混ざっていて…?そしてさらにモニカが「しんこんしょや」の秘密を知ってしまったことで、恋のバトルのボルテージは急上昇!?大波乱の地球崩壊系ラブ☆コメディ「さーど」!登場です。
モニカを目の敵にする発明少女、アリサ襲来!手始めとして柳楽をオとすことを画策し、怒濤の三角関係にーというベタな展開になるはずだったのに、謎の地下ダンジョンで密室に閉じ込められてイロイロあったり、柳楽の兄、恭平が率いる生徒会の女子委員と何故かプール&水着で肌色豊富なバトルすることになったりと奇天烈な事件が続発!しかもその影で、アリサの発明品『カバカバフューチャー』によって柳楽の死が予見されていてー。