著者 : 逆井卓馬
思うに〈青春〉というのは、よくできた推理小説のようなものだ。 失われてしまった恋愛成就の桜の謎。部活勧誘の小さな違和感。巨木の樹齢に秘められた物語。密室で消えたハムスター。壊れかけの生物部に捧げられた、高校生たちの切実な決断。 無関係だと思われたひとつひとつの因果はどこかでつながっていて、あとから振り返って初めて俺たちはそれを〈青春〉と認識する。そこでようやく気付くのだ。見落としていた大切なことに。 「検証してみようよ……科学的に!」 これは、科学をこよなく愛する高校生たちが日常で直面する数々の謎に挑む、綱長井高校「理学部」のささやかな活動記録。 ーーそして、一つの初恋が解き明かされるまでの物語である。
“あれ”から一年が経とうとしていた。 「豚さんはすっかり、私がいないと生きていけない身体になってしまいましたね」 嬉しそうに言うジェスの手には頑丈な鎖が握られている。 鎖の先にはブヒブヒと鳴く一匹の豚ーーもちろん、俺だ。 豚と美少女、二人の奇妙な共同生活がいま、舞台を変えて再び幕を開ける。 “あれ”から四年後のメステリアでは、かつての旅の仲間たちが奮闘を続ける。 英雄は遂に結婚式を挙げようとしていた。 イノシシはかつての飼い主と再会。 龍族の青年は双子の子守りに明け暮れていた。 世界は刻々と変わっていくが、旅はずっと続いていく。 これはそれをほんの少しだけ切り取った、おまけの一冊だ。
ジェスと一緒にいたい。離れたくない。 だが、現実逃避し続けることもできない。 王朝と解放軍の亀裂は深まるばかりで、シュラヴィスはノットに決闘を挑んでしまった。 間に立てるのはジェスと俺だけ。なんとしてでも戦いを止めなければ! 奔走するうちに解き明かされていく、これまでの謎と大きな秘密。 真実をかき集めて辿り着いた『解決法』は……あまりに重い決断が必要なものだった。 それでも俺は、ジェスのためなら……。 豚と少女の恋物語に訪れた大きな分岐点。 二人で歩いてきた足跡を辿りながら、俺たちの、最後の旅が始まる。 「豚さん、大好きです」 「ああ……俺も、大好きだ。幸せになれよ、ジェス」
「どうか…私を殺してください」おいセレス、どうしてそんなことを!?おかしくなった世界を元に戻すためには、セレスが死ななきゃいけないだって?絶対に認めない。俺とジェスで、セレスが死なずに済む方法を探すんだ!王朝軍から追われる身となったセレスとの、危険だらけの逃避行。知恵を絞って追っ手をかわしながら、俺たちは伝説を頼りに「西の荒野」を目指す。「よし、まずはジェスがお姉さんになるんだ。セレスのお姉さんにな」「えええ?なぜでしょう…」美少女2人に挟まれたハムサンドな旅に、意外な助っ人が現れる。その者の真意とは。そして脅かされるセレスの一途な恋の行方はーハッピーエンドにならなかったら、この俺が絶対に許さない!
遊辺高校の新入生・中里蓮(なかざと・れん)は、12年前に校内で起きた神隠し事件を解明するため超常(オカルト)を調査する“頂上探究部”を訪れた。 しかし、3人のそりの合わない同級生とともに、超常的な力によって部室に閉じ込められてしまう。 この学校の七不思議をすべて解き明かさなくては、永劫にそこに囚われるーー そんな警告文に続いて現れたのは、弾き手のいない三味線、鬼の造った階段、生徒を喰らうオオカミなどの、本物の超常現象。 謎解き好きの少女・垣木紫苑(かきのき・しおん)から助手役に指名された中里は、彼女の乱暴な推理を助けながら、ありがちに思えた七不思議の裏に秘された学園の真の姿に迫っていく。 誰にでも公平であろうとする少年と、誰かの特別になりたかった少女のための青春ミステリ!
最凶の魔法使いを遂に打ち倒し、王都奪還に成功してハッピーエンド!…とは、当然ならなかった。深世界との融合現象“超越臨界”によって引き起こされた混乱。崩壊寸前まで追い詰められた王朝の復興。そしてイェスマという理不尽。課題は山積みだ。そんななか、イェスマ解放の鍵となる「最初の首輪」を探す俺たちの前に、不気味で不可解な連続殺人事件が立ちはだかる。新王シュラヴィスの依頼を受け、俺とジェスは事件解明を目指すことに。「私がめいたんていになれば、結婚にも一歩近づきますね」んん???何か誤解が生じている気が…だが、名探偵になろうという心意気は素晴らしい。よし、今回もブヒっと解決してやろうじゃないか。
願望が具現化するという裏側空間、深世界。王朝の始祖が遺した手掛かりをもとにその不思議な世界へと潜入した豚たちは、王都奪還の作戦を決行する。そこではなぜかジェスが巨乳に。これはいったい誰の願望…?
「私もやってみたいです!らぶこめ!」ジェスが突拍子もないことを言い出した。なあジェス、ラブコメっていうのは恋愛対象がいないとできないのだが…。え、もしかしなくても相手は、俺?ブヒブヒッ!王朝に反旗を翻していた闇躍の術師を撃破し、ひとときの安寧が訪れていた。二人きりのブヒブヒハネムーン!というわけではないが、どんな願いも叶えるという「赤き願い星」を目指し、俺とジェスは北を目指して楽しく観光旅行中なのだ。なんといっても温泉が楽しみ!ジェスたちと一緒のお風呂…。もはやお互いの気持ちを隠すことなく、相思相愛のイチャラブ状態。だがジェスには気がかりもあるようで…?謎とラブに溢れた旅情編!
「私は幸せです。豚さんと一緒にいられるのなら」封印されていた記憶を取り戻したジェスたそ…ちょっと俺のことを好きすぎるような気がするのだが!いかんいかん、ガチ恋オタクの悪い癖だ、自惚れないようにしておこう。そんなジェスと一緒に俺が再び冒険の旅に出ているのは、二つの理由からだ。一つは「闇躍の術師」を打倒するための至宝を捜索すること。そしてもう一つは、王朝と解放軍の同盟を強固にするため、とある人物から協力を取り付けること。その鍵を握っているのは、女の子の脚を嗅ぐのが何より大好きという、あの変態犬ロッシで…?
剣と魔法の国に再び豚として参上!しかし肝心のジェスがいない。なぜだ!ジェスたそをブヒブヒ舐め回したい一心でやってきたというのに…!…失礼、違うんだ。俺が少し離れている間に、闇社会の連中が王朝に反旗を翻して、この国は今大変なことになっているらしい。俺がここに再臨したのは、そんななかイェスマ解放を目指し戦うイケメン狩人ノットに協力し、残酷な運命を課されたイェスマたちを救うため。べ、別に、ジェスへのガチ恋が溢れて会いたくて会いたくて仕方がないだなんて、これっぽっちも思ってないからな!「くそどーてーさんも、私と同じなんですね。いつか私もノットさんに…」こらセレス、地の文を読むんじゃない。あとその呼び方、どうにかならないか?
豚のレバーを生で食べて意識を失った、冴えないオタクの俺。異世界に転生したと思ったら、ただの豚になっていた!豚小屋で転がる俺を助けてくれたのは、人の心を読み取れるという少女ジェス。ブヒッ!かわいい!豚の目線なら、スカートの裾からチラリと純白の…。「あの、心の声が聞こえていますが…」まずい!欲望がだだ漏れだ!「もしお望みでしたら、ちょっとだけなら」え、ちょっ…!?まるで獣のような俺の欲望も(ちょっぴり引き気味ながら)受け入れてくれる、純真な少女にお世話される生活。う〜ん、豚でいるのも悪くないな?これはそんな俺たちのブヒブヒな大冒険…のはずだったんだが、なあジェス、なんでお前、命を狙われているんだ?第26回電撃小説大賞“金賞”受賞作!