著者 : 道具小路
三十歳を前に夫から別れを切り出された旭日。悲しいでも寂しいでもない。ただ、胸に深い穴が空いたような気持ちになった。判をつけないまま一週間が経った頃、旭日は仕事帰りに鴨川に飛び込んだ男子高校生・佐竹を助ける。彼も失恋したようだ。「助けてくれた礼」と、佐竹から紅く煌めく石を渡される旭日だが、それは京都の守護石『京都の心臓』だった…。二人は石を狙う何者かに狙われることになりー?奪い奪われる『心臓』。それはあなたの心、私の心。古都を巡る恋と愛の物語。
八年前の自分の誕生日、突然の事故で妻のあかりを亡くした伊吹。今でもその死が信じられず、あかりに会いたいと望む伊吹の前に、一匹の黒猫が現れる。「そんなに奥さんに会いたいかい」「夢でも、嘘でも、幽霊でもいい」「そこまで言うなら、会わせてやろうか。幽霊に」人と話すことが出来るその不思議な黒猫は、バーテンダーの伊吹に、自分を感動させるような酒をつくれば幽霊に会わせてやると言いー。あなたにも、もう一度会いたい人はいませんか?
将来の夢もなく、就活も早々に終えた藤堂。とある理由で静岡市の商店街、小梳神社近くにある緑茶専門店「お茶の燎」を訪れた彼は、作務衣を着た威圧感のある若い店主と、高貴な雰囲気を纏った和装の男・市松と出逢う。店に通い常連客たちと触れ合ううちに、次第にお茶の魅力にハマっていく藤堂だが、この店にはまだ自分の知らない秘密があるようでー?平々凡々な男の人生が、一杯のお茶によって一変する!「お茶の道のりは果てないですよ」ようこそ奥深きお茶の世界へー。
夏休み前日。町の駄菓子屋凸凹堂で、存在すら怪しまれていたアタリくじを引きました。景品は、なんのへんてつもないドロップです。でも、一粒なめると不思議な力が身について…。それからおかしなことばかり起こります。生き物と会話ができたり、ヘンテコな夏風邪がはやったり。凸凹堂の店主・銀紙ばあも姿を消してしまいました。もしかして、これもドロップのせい?ドロップと銀紙ばあ、銀紙ばあとお父さん、お父さんと凸凹堂。今まで気づかなかったわたしのヒミツをめぐる、ひと夏の冒険です。
『サンタ日本支部キタグニ』に勤務する石蕗のもとに、見習いサンタの少女・春菊がやってきた。ある出来事から「弟子はとらん」と断固拒否する石蕗だったが、空回りしながらもめげない彼女に振り回されるうちに……?