著者 : 鈴森丹子
ハウスメーカー勤務のとっこは子どもが苦手。ある時、兎のビッケと悠々自適に暮らしていたアパートの両隣と真上の部屋に子連れのファミリー世帯が住むことに!突然のお子様包囲網を脱するべく引っ越しを決意したとっこだったが、新たな物件に入居した日の晩、そこには見知らぬ子どもの姿が…!?「ぼくは…ざしきわらしぜよ」やむなく座敷童のたっくんと同居生活を始めたとっこ。一緒に暮らし、次第に打ち解け始めた頃、たっくんの悲しき真実を知ることにー。
「家業を継ぐ」-その思いで庭師の仕事を頑張ってきた坂神吉良恵の心は折れていた。てっきり両親に期待されていると思っていたのに、後継者に選ばれたのは別の人。夢を失い、将来を見失い、人生迷子のぐるぐる迷路、道を訊こうにも相談できる人はいない。…でも狸ならいた。帰り道で連れ帰った狸が人の言葉を喋ったかと思えば自分は神様だと言い出して…??「お嬢は本当の自分からはぐれておるから迷うのだ」“なんでも話せる相手がいる”温かさをお届けいたします。
“他人”を知って“自分”を知る、現代版クリスマスキャロル!上司のパワハラに耐えかね、世話になった先輩が会社を去った。もし僕が先輩を庇っていれば、去り行く彼女に声をかけていれば…あるいは何かが違ったのだろうか?そんな後悔を引きずったままクリスマスイブを迎えた僕は、気づけば知らない他人に乗り移っていた。イジメられている高校生、幼馴染と疎遠になり寂しさを感じる小学生、妻を亡くしひとりで暮らすおじいさん。様々な人のクリスマスイブを体験することで、僕は自分に足りなかったものを見つめ直すことになる。
バイト先のテーマパークで大失態を演じ、神木尋心の心は折れていた。今までのがんばりが認められ社員登用のチャンス! でもそこに幸せそうな元彼が現れ、大ショックで大失敗。上司の期待も裏切ってしまい、独りやけ酒に沈み、相談できる人もいない。 ……でも狸ならいた。帰り道で連れ帰った狸が人の言葉を喋ったかと思えば自分は神様だと言い出して……?? 「おかえり。風呂に入られよ。酒臭いでござる」 “なんでも話せる相手がいる”温かさをお届けいたします。
思い出を残して故郷を旅立ち、別々の地で別々の人生を歩み始めた幼馴染みたち。仕事に、家庭に、恋に悩んで立ち止まってしまった彼らのもとへ、あるとき白くてでっかいお友達があらわれた。のんびり屋で天然で、空気の読めない喋るシロクマに、最初は驚き困惑していた彼ら。けれど、不思議と懐かしい温かさを感じるその振る舞いに、いつのまにか背中をそっと押されていることに気がついた。やがて、思い出の中に置いてきたシロクマ係長の正体と、切ない想いが明らかにー?
理不尽な上司からクビを宣告され、神尾祈里の心は折れていた。故郷を離れて数年、両親と新婚の兄夫婦が暮らす実家に自分の居場所は無く、両想いだと思っていた男にも連絡を絶たれ、慣れないこの地で相談できる人はいない。…でも猫ならいた。帰りに拾った捨て猫四匹。そこに紛れていた狸が、人の言葉を喋ったかと思えば自分は神様だと言い出して…??『おかえり。随分痛い目にあったようだな』“なんでも話せる相手がいる”温かさをお届けいたします。
中神結は悩んでいた。いつも自分を助けてくれる神様のような存在の姉に、彼氏ができたらしいのだ。しかし相手はいかにもダメそうなチャラ男。大事な姉を傷つけずに守るには、一体全体どうすれば?新天地に越したばかりの身では、相談できる人もいない。…でも狸ならいた。荷物に紛れていたこの狸、なんと人の言葉を喋りだし、おまけに自分は神様だと言い出して…??『神である以上、悩める人あらば放ってはおけぬな』“なんでも話せる相手がいる”温かさをお届けいたします。
就職を機にひとりぼっちで上京した神谷千尋だが、その心は今にも折れそうだった。些細な不幸が積もり積もって、色々なことが空回り。誰かに相談したくても、今は深夜。周りを見回しても知り合いどころか人っこひとりもいない。…でも狸ならいた。寂しさのあまり連れ帰ってしまったその狸、なんと人の言葉を喋りだし、おまけに自分は神様だと言い出して…??『お嬢、いかがした?何事かとそれがしに聞いて欲しそうな顔でござるな』こうして一日の出来事を神様に聞かせる日課が誕生した。“なんでも話せる相手がいる”、その温かさをあなたにお届けいたします。