著者 : AkiZero
悪女と名高い夏雲は、本当は刺繍が大好きで、今では皇帝・佩芳の衣装係。毎朝佩芳の寵愛を受け流しながら衣装を選ぶのが日課だ。 そんな折に妃嬪たちのお茶会が催され、佩芳が姿を見せる。自分と揃いの布で、妃嬪の襦君を一着作るよう佩芳から賜った夏雲だが、告げられた身幅に驚く。 夏雲とは違う豊かな身体、まるで奏国から嫁いだ巧玲のための衣装だ。夏雲は衣装作りに励むも、自分のものではないことに胸が痛む。 一方夜更けの宮廷では、謎の女官が徘徊しーー? 大胆乙女の後宮譚、恋に苦しい待望の第二巻! なりゆき悪女伝……007
苑国へ五名の妃嬪が嫁がれる日、對国の末姫・夏雲<シャーイン>の姿もあった。 輿入れでは民衆から花が手向けられるはずが、勇ましい夏雲には野草が似合うと、三叶草が投げられた。美麗で冷酷に見えるが故に「悪女だから」と噂もされた。 けれど本当は可愛いもの好きで、特技は刺繍。衣装はもちろん平たい胸を補強する肉饅頭もお手製だ。 服を脱がなければ大丈夫……と夏雲は堂々と振舞うが、かえって注目を浴び、皇帝・佩芳<ベイファン>から寵愛を受けることになってしまいーー!? 困難にも縫い針一本で挑む。大胆乙女の後宮恋愛ファンタジー! なりゆき悪女伝 ・・・005
幼い日。婚約の儀に縮こまっていた実瑚の記憶に残るのは、緊張をほぐす甘いお菓子と、差し出された親王様のふくよかな御手。月日は流れ、実瑚はお菓子作りが好きな、やんちゃな姫となっていた。 苦手な占いの勉強をした、ある日の帰り道。実瑚は通りすがりのお屋敷に橘の実を見つける。そこへ現れたのは見目麗しい青年“橘の君”。どこか懐かしい彼に橘の実を使った甘味を振る舞うと、宮中に住むという彼の父にも食べさせてほしいと請われて……? 運命の再会に誘われ、実瑚の占いとお菓子作りが宮廷の闇を暴く! 目次 一、星を握って生まれた姫 二、甘いお誘いにはご注意を 三、不安も戸惑いも明日の糧にする 四、たとえ嵐が来たとしても 五、桜の姫は未来を言祝ぐ 六、今宵、後宮に咲く あとがき
藤十郎とともに京へ戻ったせつな。しかし、第八警邏隊には療養を終えた隊士・本条がいて、あやかしだと見破られてしまう。屯所を追われたせつなは、親戚の都子のもとに身を寄せることとなる。 せつなと藤十郎は密かに逢瀬を重ねるが、都子は離縁すべきだと言い出す。別の男性に嫁がせようと画策する都子に追い詰められる中、せつなは彼女の抱える秘密に気づく。--それは京をも揺るがす悲しい事件の始まりだった。 そして、せつなと藤十郎にも最大の危機が訪れる。二人が選ぶ未来はーー。 第一章 懐かしい人と土地と 第二章 咲宮家での暮らし 第三章 ふたりの秘密 第四章 突然の別れ 第五章 望まない結末 第六章 人とあやかしの世
藤十郎を婚家へ連れ戻ったことで、せつなは義祖母からもてなされ、義妹・奈緒も優しく、まるで自分の居場所ができたようだった。だが藤十郎から、奈緒とは関わるなと諭され、せつなはとっさに反発してしまうがーー?
華族の父親に嫌われ、座敷牢で育った少女・せつな。京の都に住むあやかし警邏隊・藤十郎のもとへ嫁ぎ、徐々に二人は好き合うようになる。だがせつなには決して結ばれることのない、生まれもった運命があった。