公務員、中田忍の悪徳
区役所福祉生活課支援第一係長、中田忍(32歳独身)。責任感の強い合理主義者。冷酷だが誠実、他人に厳しく自分自身にはもっと厳しい男。ある深夜、帰宅した忍は、リビングで横たわるエルフの少女を発見。忍は悟る。「異世界エルフの常在菌が危険な毒素を放出していた場合、人類は早晩絶滅する」「半端な焼却処理は、ダイオキシンの如く地球を汚しかねない」「即座に凍結し、最前ど宇宙、次点で南極、最悪でも知床岬からオホーツクの海底へ廃棄せねば…」だがその時、“エルフ”の両瞼がゆっくりと開きー第15回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。
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区役所福祉生活課支援第一係長中田忍は、あるひとつの悪徳を犯している。穏和な生態と柔和な笑顔がかわいい、言葉の通じぬ異世界エルフ“アリエル”を秘密裏に保護し、生かし続けていることだ。果たすべき日々の業務に加え、それぞれの協力者たちの思惑、立ちはだかる戸籍問題、さらにはアリエルとの穏やかな暮らしすらも、忍の罪悪感を苛み、責め立て、忍の信義を惑わせる。そんな中、クリスマスの近づくある日、区役所へ謎の幼女が現れる。「はじめまして、ぱぱ!」と元気に叫ぶ彼女を、忍は迷わず警察へと突き出すが…。 2021/12/17 発売
突如もたらされた“異世界エルフ”アリエルの身分を公的に証明する書類の数々。多くの問題を解決し、忍の目指す異世界エルフの社会的自立を大きく助けてくれるはずのそれは、同時に「公的機関のデータベースを自在に操る超越的な謎の監視者」の存在を示唆するものでもあった。浮き彫りとなった異常を前に、家族を守るべく戦線を離脱する徹平、遠ざけられた由奈、空回りする環、じっと見守る義光。そして、アリエルを送り出すべき現代社会もまた、中田忍を苦しめる。打ち寄せる新たな波紋は、忍から何を奪い、何を与えるのか。 2022/08/18 発売