出版社 : 中央公論新社
北海道瀬田寒原野の地霊=犬神が封じられ、原野が犬頭形の陥没と化して半年余。またも頻発する怪事件の霊査を依頼され、オカルトライター兼占い師の稲村虹子は札幌へ飛んだ。原野を鳥瞰する虹子の“魔法の鏡”に映ったものは、黒魔術の謀略によって三たび目覚め、札幌に向けて首を伸ばす巨大な犬の顎であった!凶獣を操る妖艶な女魔術師に挑む“赤い魔女”虹子の凄絶な霊的死闘。『凶獣幻野』ほか〈民遺監〉三部作に続く新シリーズ第一弾。
原潜銀座、対馬海峡に米軍が密かに設置した最新の水中聴音装置DESBEL。これを入手しようと企てるソ連の特殊潜水艇〈ミゼット〉。だが潜水艇の接近は、聴音装置防御用の魚雷発射式機雷を目覚めさせてしまった。被弾しながらも目的の装置を奪取したソ連潜と、国際海峡を封鎖してしまった米軍の機雷により、日米ソ間に極度の緊張が。自衛隊唯一の実戦経験部隊であり、米ソをもしのぐ装備を持つ海自掃海部隊とP-3Cの協同作戦は。
細胞複製制御酵素、すなわち不老不死の可能性を発見した直後に行方不明となった朝倉。その妻菜緒子も誘拐され、彼女の愛人で朝倉の同僚だった達也も襲われる。執拗に達也を襲う製薬企業と自衛隊衛生局特別班。どうやら彼は、不老酵素の情報を封入したカプセルを、知らずに呑んでしまったらしい。達也の体内にある情報を手に入れようと手段を選ばぬ巨大組織。菜緒子を救出し、自らを守るために、達也は一発逆転の奇策を仕掛けるが。
局地群発地震、アベックの連続失踪、跳梁する屍食鬼…、多摩丘陵に怪事件が頻発する。地下壕に埋めた旧日本軍の高射砲を発掘する元砲兵隊長を取材中の共時通信記者田外は、壕内に若い男女の射殺死体を発見。だが眼前で同僚が黒く毛むくじゃらの醜悪な影に貪り食われてしまう。-黙々と屍食鬼を狩る自衛官。陸自〈民族遺産監理室〉最後の霊的謀略とは?司祭服に身を包む美貌の魔術師香月が喚起した〈火の王〉に88式野戦高射砲が火を吹く!
ソヴィエト大使館のほど近く、元総会屋で闇情報誌の編集長が経営するバァ-その名も〈もぐり酒場〉。いかにもヤバそうなこの店の常連たちが拾ってくるのはトラブルばかり。輸入したウイスキーはミサイルに化け、純な“プロレス者”は占領軍の秘密資金ネタに首を突っこんだ。ヤクザの組長の一人娘の家出騒ぎは誘拐事件になっちまい、皇居外周グランプリ・レースにゃ銀行強盗の逃走車が飛び入りして…。連作スラプスティック・コメディ。
横浜へクルーズ中の動く海上都市“クイーン・エリザベス2世号”が、アメリカ海軍の元軍人たちに乗取られた。さらに彼らは、ソ連の最新鋭戦略原潜“レニングラード”と洋上で会合し、核魚雷の弾頭をQE2へと移す。与党ナンバー2の政治家、米国大統領令嬢夫妻らを乗せた豪華客船と、240発の核を搭載した大型原潜。東京湾へと近づく両艦に対し、米軍グリーンベレーと海上自衛隊対潜哨戒機P-3C部隊による攻撃が命令された…。
QE2乗取り呼応して、ソ連のバルト三国で民族主義者が組織的に峰起した。東京とQE2を人質に、核ミサイルの目標をソ連へと変更する横浜沖の原潜“レニングラード”。ソ連は米軍機に擬装したスホーイ-25を東京上空に浸入させるが、乗取り犯から情報を得た航空自衛隊のF-15に迎撃される。たび重なる情報漏れに疑心暗鬼となる米ソ首脳、そして両国情報機関。日本は海上自衛隊潜水艦“ゆきしお”の大胆な作戦にかけるが…。
どうってことのない地方都市に住む、どうってことのない刀根家の人々が、どうってことのない蒸し暑い日に、とんでもない事件に巻き込まれた。妻は不倫のあげく過って殺人を、長女は時効まぎわの犯人と逃避行を。夫は出張先の東京で謎の女と怪しげな行動を、長男は幼い女の子を守って見えざる敵との戦いを。そして姑はバスジャックの人質に…。はたして刀根家の人々にどうってことのない平和な生活は再び戻ってくるのか?
チャイナタウンに変貌した新宿を襲った武装ヘリ。東京湾上テレポート・シティに巣喰う新興暴力団が傭兵部隊を組織し、対立する中国系マフィアに全面戦争を仕掛けたのだ。対都市ゲリラ戦のエキスパートである陸上自衛官・公文梓は、2大勢力殲滅の特命を受け、壮絶な市街戦に巻き込まれて殺された弟の復讐の念を胸に、単身無法地帯と化した新宿に潜入する-。
11年前に演習の標的となって撃沈されたはずの護衛艦“あきつき-44”が、再び玄海灘に姿を現わした。溶け爛れた艦橋、脈打つ砲塔…。乗組員と融合し、変わり果てた姿で異次元との間をさまよいつつそれは北上を続ける。取材に赴いた共時通信記者・田外は、幽霊軍艦を生んだ悪魔の計画『SSB実験』の存在を知る。禍禍しき凶艦を操る陸上自衛隊〈民族遺産監理室〉の壮大な陰謀とは?“田外竜介シリーズ”第2弾、長篇オカルト・アクション。
西南アフリカの某国に内乱が勃発。反政府軍に包囲された臨時首都には、救援機の飛来に望みを託す外国人と、精霊に祈るしか術のない黒人難民がひしめく。その中に日本人農業指導員都筑の姿もあった。慢性的飢餓の街を封鎖するたった2輌のソ連製T55戦車。郊外の病院がそのキャタピラに蹂躪されたとき、凄惨な遺体と瓦礫を前に都筑はこの怪物を倒す戦士と化した…。アフガニスタン内戦を経験した著者が描く迫真の戦闘冒険小説。
1991年暮れ、クリスマスにわくニューヨークで取材中の樫山はRJと名乗る男と接触し“21世紀の死の商人”Φ(ファイ)の存在を知る。直後、サンタクロースがマシンガンを乱射。瀕死のRJが言い残した言葉は、「エンゼル急行を追え」。一方、次々と少女が失踪していた東京では、樫山の娘で、テレビ出演中にスプーンを曲げたアイドル歌手の由真までが失踪。連続する少女誘拐事件の背後には暗黒組織Φの野望が!サイコ・サスペンス・アクション。
「平家物語」ゆかりの紅葉の光明寺を訪れた沢田由美は、ふとしたことで歌舞伎役者片岡秀三郎と知りあう。連れ立って帰る二人は石段わきで男の服毒死体に出あうが、なぜか男の手にはすすきが1本にぎられていた。さらに翌日、二人でまわった鷹ケ峰光悦寺の萩の花の下で医学部教授の死体が発見される。そして桔梗寺の盧山寺で…。秋の七草の寺で連続殺人か!?古都の寺院を舞台に展開する、推理の女王による本格抒情ミステリー。
「マユミ、君だけを残して行くわけにはいかないよ」唯一の心の慰めだったリスの死骸を隠し持って、アメリカから帰国する孤独な留学生-。「千春、君だけが汚れた僕を救えるんだよ」テレビの女性キャスターに異常な視線を注ぎ、愛するセントポーリアと共に彼女をガラスの部屋で育てたいと望む男-。ペスト菌に感染したリスがもたらす禍いと、病んだ男の精神が引き起こす誘拐。平穏な街に恐怖の二重奏がかなでられる。
札幌近郊の瀬田寒原野に建設された学園都市で、建設大臣犬塚が野獣に喰い殺された。共時通信記者・田外竜介は事件を追って北海道へ。その夜、水口組の殺し屋犬山が巨大な黒犬に咬み殺された。翌日学園の犬飼教授を尋ねた田外の目前に、突如虚空から漆黒の巨獣が出現…。次々と屠られる犠牲者。謎の精神病理学センター局長近江と美人助手乾伶子。立ち並ぶ奇怪な建物群に隠された意味とは。期待の新鋭が放つ長篇オカルト・アクション。
仙台で、幼い頃別れた母との再会を果たした西尾えりかは、勧められるままに、近郊の温泉への小旅行に参加した。しかし、料理に混入した毒草で、会社社長が命をおとし、彼女も軽症ながら中毒するという事態となった。誰が、何のために…。えりかを心配して東京から駆けつけるハリー。錯綜した人間関係を探り始めたふたりを嘲笑うかのように、また死体がひとつ…。
地方都市に突如建立された巨大な大仏。その関係者の首なし死体が九頭竜川の土手で発見された。事件に巻き込まれた鬼の末裔一ノ瀬大地は、その真相を探るうちに、各地の巨大仏像を繋ぐ奇妙な暗合に気づく。だが大地の一族だけでなく、謎に迫る者は次々と首なし死体に…。背後に潜む闇の暗殺集団。暗躍する美貌の女。全国の巨大宗教建築群に秘められた恐るべき陰謀とは。「シャドウメッセージ」に続く伝奇アクション第2弾!
洋上に巨大な雄姿を浮かべる空母カール・ヴィンソン。海中でその監視につくソ連のヴィクター3級原潜。双方が互いに敵の裏をかこうと行動したとき、恐るべき事故が起きた。急浮上をかけた原潜が空母の艦底に激突したのだ。沈没圧潰する原潜、メルトダウン寸前の原子力空母。放射能洩れをおして横須賀に強行入港しようとする米空母に対し、海自の最新鋭潜水艦に撃沈の密命が下った。さらに米ソの原潜も各々の目的を秘めて現場海域へ…。名作『レッド・オクトーバーを追え』をもしのぐ傑作長篇。
南アの港街ダーバンでアバンチュールと洒落こむ一等航海士の五郎。だが、これがとんでもない罠だったのだ。秘密警察BOSSの逮捕と拷問、釈放条件として示されたうさん臭いタンカーへの乗り組み、さらにセネガル沖での武装ヘリによる襲撃と船の沈没…。そして今、事件の唯一の生き残り五郎を追って、謎の男たちがダカールに集まる。-南アの原油詐取に端を発した巨大な陰謀は、好漢五郎を危険な冒険の荒海へと誘う。