出版社 : 主婦の友社
ドラゴン討伐を終えた日下部虎次。新たに仲間になった円花と共に、オーガス勇国の中心地レメアルへ上陸する。到着後、手分けして図書館での調査と、街中での調査班に分かれる。普段は冷静沈着な円花だったが、蔵書の山を見ると目の色が変わる。あまりの変貌ぶりに驚きと呆れを抑えきれない虎次と莉依。円花の新たな一面を発見しつつも、調査は遅々として進まない。知ったのは、八重樫愛果が城内に連れて行かれたらしいこと、そして図書館の重要図書に転移に関する書籍があるかもしれないことだった。そんな中、レメアルのオーガス城で、勇王ロメルの演説が始まる。それはオーガス全域において催される勇王祭の開催演説だった。虎次達には関係のないことだった、その時までは。勇王ロメルの横には、ある日本人が立っていたのだーーー。
フランコからの要請で、島の東側の村を回ることになったエイジ。鍛冶師として東の村に道具を作ることが主目的ではあるが、東の村には、この島を作ったご先祖様が最初に立ち寄った浜があると聞き、日本に繋がる手掛かりがあるかもしれないと考える。弟子のピエトロ、ダンテ、レオ、カタリーナを連れて旅立つことになったのだが、その前日、タニアが嫌な胸騒ぎがすると言って出立を引き留める。さらには巫女のアデーレまでもがこの旅に不穏な神託を受けたと言い、エイジは不安を抱えたまま、シエナ村を発つことになった。まずはナツィオーニの町に行き、ナツィオーニとフランコから目的地を聞く。今回の派遣は東の村と西の村の関係を取り持つための一環であり、エイジたちに危険はないと言うのだがーー。
リョウたちは学園を卒業し、長かった学生生活も遂に終わりを迎えることになった。学園で知り合った人たちとの別れを惜しみつつ、領地に戻ったり、騎士になったりと、それぞれが新たな道を歩みだしていった。リョウは白カラス商会の活動に本格的に力を入れていくのだが、ある日、盗賊団に荷物が奪われてしまったと報告が入る。聞けば近頃、生活用品を乗せた荷馬車が多く被害にあっているようで、盗賊団の退治に乗り出すことになった。アジトに辿り着いたリョウたちは、リーダー格の男一人を捕まえることで穏便に済まそうと交渉していると、血相を変えた男が村に戻ってきた。その男は間違って魔法使いが乗った馬車を襲ってしまったと言うのだがーー。
反乱軍を迎え討つため、かつての敵砦ウルタで過ごすカズキは、自分にできる手伝いを行いながら過ごしていた。双子の弟であるユアンからは相変わらず嫌われていたけれど、兄のユリンから、ユアンの女嫌いの理由と二人の過去を聞く。自分達を売った母親を自分はもう捨てたが、ユアンはずっと母親から受けた傷を抱え続けているーーー。そんなユアンの傷を癒してほしいと願うユリンに、カズキは自分にできることは必ずすると約束するのだった。一方、ウルタ砦の前に姿を現した反乱軍が用意していた兵器を見て、カズキは悲鳴を上げる。ガリザザは爆弾だけではなく、大砲までをも開発していたのだ。カズキは、ガリザザに爆弾と大砲を教えた同郷のムラカミイツキが一体いつからこの世界にいたのかと衝撃を受けてしまう。
木造帆船での長く危険な航海の末、遂に『黄金の木の葉号』は北大陸に到着する。フレア姫の判断で、一行は『教会』の影響が比較的弱いという、ポモージエ港へ停泊することとなった。久しぶりの陸での生活に羽を伸ばしていると、買い物に出かけていた侍女のマルグレーテが、路地裏で孤児の少年に声をかけられる。なんでも、善治郎たちと同じ宿に泊まっている、ヤン司祭に言伝を頼みたいのだという。「放っておいたら大変なことになる」という少年の言葉を聞いた善治郎は、ヤン司祭に事の顛末を伝え、宿で共に話を聞くことになる。そこで少年が口にしたのは、なんと「『騎士団』がこの国を攻めてくる」という内容だった。
傭兵団同士の抗争に勝利し、ビムラの最大手にまで登りつめた山猫傭兵団。それは業界内の勢力図が大きく塗り替わり、大きな注目が集まることを意味していた。団員たちの生活向上のため、密かに商工ギルドに属さない商売を始めたウィラード。しかし、傭兵が自分たちの既得権益を侵食してくることを権力者たちが許すはずがなかった。ビムラ中央会議議長、エルツマイユが選んだ方法はー「本日はウィラード・シャマリ殿に、おめでたいお話をお持ちいたしました」。持ち込まれた縁談は団員たちを巻き込んでの大騒ぎを呼び起こす。なぜなら、その相手が…。
エリピア大陸は現在、ロンボウ王国、アインラード帝国、そしてミサリナが代表となった南部商会連合の三大勢力が、互いを出し抜こうと牽制し合っていた。そこで、ロンボウの王となりつつあったフリンジワークは、アインラードのシャロン、南部商会連合のミサリナを招集して、「ゲーム」を持ちかける。国宝でもある三枚のコインをそれぞれが所持して奪い合い、三枚揃えた勢力が強大な力を得るというもの。それはあまりにも荒唐無稽な提案だったが、話を聞いたシャロンとミサリナは乗ることにした。あらゆる方面から命を狙われ続け、地下に潜っていたセイギもまた、このゲームに巻き込まれていくことになる。策を巡らし裏をかき合う、命がけのゲームの行方はー。
皇帝の魔の手から逃れた日下部虎次と仲間たちは、辺見朱夏の案内で、亜人であるネコネ族の集落に滞在していた。長であるバーバの厚意で、しばらく集落で過ごすことに。やがて、元皇女であるサラ・サラディーン・エシュトが周囲との軋轢を生むようになっていた。やるべきことをせず居丈高なサラに対して誰もが不満を抱き、特に結城八重は爆発寸前。虎次自身にもくすぶった思いがあった。それぞれの思いが交錯していくのだがーーー。
アインビストから再びポーンソニア王国へ戻ってきたヒカルは、無実の罪を着せられているラヴィアに堂々と日の下を歩けるようになってほしいと強く思い始める。次期国王の継承争いで混乱している今ならば何か方法があるかもしれないと考え、ヒカルは王宮内に忍び込み、王女クジャストリアと接触する。そこで知ったのは、クジャストリアがローランドの知り合いだったという事実。さらに、クジャストリアが王の座につくためには三家ある公爵家すべての賛成が必要なのだという。しかしそのうちの一つ、ナイトブレイズ家の次期当主は原因不明の病に伏せており、執務もままならないらしい。ローランドの縁もあり、手を貸すことにしたヒカルは、病の原因を確かめるために公爵家に向かうのだがーー。
歴代最高と呼ばれる体力を持つルードは、大盾で敵の攻撃を引き受けるタンク役として、勇者パーティで活動していた。しかし、思うように迷宮攻略が捗らないことに苛立った勇者のキグラスから、無駄に体力を削られるだけの役立たずだと言われ、パーティを追放されてしまう。ひとまず最愛の妹に会おうと思い故郷に帰る途中、ルードは魔物に追われている少女を見つけて助け出した。助けた少女はとても珍しい「鑑定」のスキルを持っていた。少女に頼んで「鑑定」してもらうと、なんとこれまで使えないと思っていたスキルは、実はとてつもなく強力なスキルであったことが判明する。ルードは持ち前の膨大な体力とスキルを駆使して、最強のタンクとして実力を発揮していくーー。
剣術家の家に生まれた青年・結城悠は、ある日、とある事情から最愛の少女の命を奪ってしまう。悠は贖罪として自ら命を絶ったはずが、見知らぬ森の中で目を覚ました。不思議に思い森の中をさまよっていると、頭から狐耳をはやし、やけに扇情的でコスプレじみた和服を着た美少女と出会う。「小狐丸」と名乗った少女のことを、刀剣好きの痛いオタクかと思った悠だったが、直後に現れた異形の化け物ーー「鬼」と、それを切り伏せる小狐丸を見て、自分が異世界に迷い込んでしまったことを知る。話を聞くと、この世界は人間の女性は絶滅し、代わりに刀剣より生まれた新人種、「御剣姫守」が鬼と戦っているのだという。人口の1割ほどしか存在しない男性は、「御剣姫守」に守られて暮らしている。すっかり男女の価値観が逆転している異世界で命がけで戦う少女たちを見て、悠は自らも戦おうと提案するのだがーー。
強大な力を持った三十男は、ポンコツな従者を引き連れて、今日も自由気ままに異世界で放蕩の限りを尽くしていた。例えば、力を求める少女に一緒に風呂に入りながら魔法を教えたり。例えば、人類の敵である魔人の美女を脅して取引を持ち掛けたり。例えばーー好奇心の強いお嬢様と食いしん坊なメイドをからかって遊んだり。気まぐれな行動で人々に多大な影響を与えていくが、そんなことはどこ吹く風。お構いなしに、男はひたすらに享楽を求めていく。冴えないおっさんの道楽三昧な異世界旅、第三幕が今始まる。
ゼフェカの企みにより、十年の蟠りが噴出したグラース国とブルドゥス国。軍士の大規模な離反が現実となってしまった中、カズキは偽黒スヤマの侍女としてお茶会に付き添っていた。ゼフェカがそばを離れたこの好機に、少しでもスヤマから情報を得ようと、イヴァルとヒューハと共におしゃべりに花を咲かせてスヤマの動揺を誘う。そんな中、会場内に一人の男が現れ、カズキに動向を願い出る。知らない男に警戒するカズキ。だが、男の正体を知って一気に警戒を解く。男は問う。「異世界人の目から見て、この国が好きか」と。カズキは、その質問にこう答えたーーーー。
高校二年生の日下部虎次が乗っていた飛行機は、不幸にも墜落してしまう。目を覚ますと、生存者は既に脱出したようで、一人取り残されていた。重い体を引きずり外に出た虎次は、運良く事故から生き延びたのに、崩れてきた飛行機の羽に潰されて死んでしまうーーかに思えた。虎次は機内で目を覚ます。それは死して生き返る能力、リスポーンによるものだった。非現実的な状況に混乱しながらも再び外に出るが、今度は異形の存在、魔物に殺されてしまう。またも機内で生き返った虎次は、ここが異世界であり、自分に異能が目覚めたことを理解した。危険な目にあいながらも、虎次は近くの村を目指す。しかし、飛行機で隣の席だった遠坂莉依と、もう一人の少女が魔物に追われているところに遭遇してしまう。虎次には戦う力はない。だが死なない能力はある。時間稼ぎならばできるはずだと信じ、少女達を助けるために戦いに足を踏み入れていく。
隣国パンジャリーの内戦によって大きな功績を挙げたウィラード。その才能は山猫傭兵団の内部より、むしろ外でこそ評価されつつあった。かつての強敵、火神傭兵団が引き抜きを企て、女傭兵ミュアキスが派遣されてきている。彼女の存在はモテない団員たちの嫉妬を煽り、ウィラードの団内での立場を悪くさせていた。戦争の影響はビムラの町にも波及し、負け組についた傭兵団の多くが解散の危機に瀕していた。傭兵たちが所属先を失うことを憂慮した傭兵ギルドのソムデンは、山猫傭兵団に対して新入団員の受け入れを要請する。「ウィラードさん、あなた今、自分で思っている以上に重要人物ですよ」
ガルゲン帝国に入国し、帝都へ向かおうとしていた太一、凛、ミューラ、レミーアの四人は、突如現れた皇帝の使いに導かれ、皇帝メルキドラと面会する。そこでメルキドラが直々に持ち掛けてきたのは、帝国立騎士養成学院での生徒の護衛と潜入調査の依頼だった。なんでもアクト・バスベルという生徒が狙われており、その企みを阻止してほしいとのこと。四人はエリステイン魔法王国からの特別留学生として通うことになり、太一と凛は久しぶりに学生生活を送ることになった。一行は圧倒的な力を見せつけて学院の生徒たちを牽制し、真相を探っていく。アクトが狙われる理由とは、そして学院に潜む闇の正体とはーー。
十五歳を迎えた子供たちは、神様から「ギフト」と呼ばれる特別な能力を与えられる。ラゴウ村に住む少年レオが手に入れたのは「異界からの召喚」というギフトだった。周囲が期待に沸き立つ中、さっそく能力を使ってみると、出てきたのは小さな洗濯ばさみ一つ。その結果、人々は期待外れだとレオを蔑むようになった。しかし実は、召喚は一日一度、様々なものが呼び出せる能力だと気が付く。レオは召喚した異世界産のアイテムを駆使して、徐々に強くなっていく。ある日、いつものように召喚を試していると、一人の少女が現れた。オートマタのアリスと名乗った少女と行動することになったレオは、二人でダンジョンに潜り、アイテムを使って特訓を続けていく。やがて帝国の皇女と出会い、世界へと羽ばたいていく少年の冒険譚が幕を開く!
トリョラの町は敗北こそ免れたものの、戦争の爪痕が深く残り荒れ果てていた。義勇軍の代表として住民から恨まれていたセイギは、役人たちに戦争の責任を押し付けられそうになってしまう。そんなセイギが会議で提案したのは、トリョラの再建計画だった。莫大な資金は私財を投じると主張し、セイギを庇うハイジの後押しもあり、再建計画は進められていく。しかし、ひどい資金繰りに加え、命を狙われ続ける日々。街には違法な麻薬が横行し始め、治安は悪化していくばかり。追い詰められていくセイギは、大陸屈指の大商会の代表・クーンに融資を求めるのだがー。
オフィス街に程近い商店街の一角、古い雑居ビルの地下一階にある『洋食のねこや』。平日はサラリーマンが多く通うありふれた洋食屋は、一週間に一度、土曜日にだけ「特別」なお店になる。先代の頃より三十年間「向こう」の客を絶品料理でもてなしていた『異世界食堂』は、『異世界料理のねこや』として新装開店する。それは、店の主が変わった一つの区切りの証。けれど、新たな看板を掲げて名前が変わっても、小さな食堂の営みは変わらない。ちょっと変わった給仕とともに、訪れた人々に美味しい料理をふるまい続ける。チリンチリンーー。そうして今日もまた、土曜日に鐘が鳴る。
サラリーマンのタナカを転生させ損ねてしまった女神アマレッタは、タナカの住む六畳一間の小さなアパートで同居することになってしまう。今では毎日家事をこなしてタナカの帰宅を出迎え、すっかり「幼妻」な生活が身についてしまっていたアマレッタだったが、タナカを転生させる機会を虎視耽々と狙っていた。そんな真夏のある日、アパートが停電してエアコンが効かなくなってしまう。お詫びとして管理人の沙帆からリゾートプールの無料券をもらったタナカは、アマレッタにねだられて、沙帆とともにプールに行くことになる。しかし、いざ出発しようとしたとき、もう一人の転生女神であるフェレローシェまでが一緒に行くと言いだしてー。