出版社 : 徳間書店
今より少しだけ未来の202X年。小学生の間では、ウェラブルコンピューター“電脳メガネ”が大流行していた。この“メガネ”をかけると、必殺技を手に入れたり、電脳ペットを飼ったり、子どもたちだけのとびきり刺激的な秘密の遊びをすることができるのだ。ただし、“メガネ”を楽しめる時間には限りがあって…。お祭りの神社で発生した火事とそこで目撃された“赤い柱”についてささやかれはじめた噂の中心には、「イサコ」の名があった。不穏な空気を漂わせはじめる大黒市で、7年前に“メガネ”の子どもたちに起きた謎の事件の真相を探ろうとするヤサコたちは、突然メガマス社からの呼び出しを受ける。一方ハラケンは、なくしてしまったカンナの“メガネ”を探すため、ダイチたちに協力を求める。カンナの“メガネ”はどこへ消えてしまったのか。
双子のように育った遠子と小倶那。だが小倶那は“大蛇の剣”の主となり、勾玉を守る遠子の郷を焼き滅ぼしてしまう。「小倶那はタケルじゃ。忌むべきものじゃ。剣が発動するかぎり、豊葦原のさだめはゆがみ続ける…」大巫女の託宣に、遠子がかためた決意とは…?ヤマトタケル伝説を下敷きに織りあげられた、壮大なファンタジーが幕を開ける。
霊界の現世への侵出を防ぐため、緩衝地帯に現れた我らがヒーロー。“だれなんだ?アホなのか?変人かい?”彼の名は、人呼んで、ジャグラー。近未来、コンピュータ・チップの処理速度は量子効果障害によって技術的な限界を迎えていた。だが量子効果が霊的現象であることが解明され、テクノロジーがついにユークリッド的非存在“霊”を演算により証明してしまう。来るべき、約束の地であるはずの霊界はアメリカン・コミックそのままの、俗悪なる原色の世界だった!バッド・ポップなSFアクションの傑作、初文庫化。
殺人現場は密室-!?汎用小型宇宙惑星「SV998」の地球環境居住区で発見されたのは、地球人の親善大使の死体だった。事件の担当を命じられたのは、乗組員すべてが宇宙軍諜報部所属の特別捜査官である、捜査艦「ギガンテス」菜葉樹人のリコッロブ艦長、地球人のシュトルム副長たちは、亜空間ワープ航法で現場へと急行する。ザルルン帝国の和平のために派遣されていた大使は、なぜ、無惨な死を迎えたのか?本格推理小説の旗手が初挑戦する長篇SFミステリー意欲作。デュアル文庫オリジナル。
「おれ、結婚したんだよ」とクラムジー。それに応えて、イルは「おれも結婚した」と言った-。銀河を股にかけた、あの郵便配達員コンビを巻き込んで、遊星ユニヴァーサルでは大騒動が勃発!跳びはねる銃弾。鳴り響くウエディング・ベル。はたしてイルは、十一年ぶりに再会した美女・カジャへの愛を、貫くことができるか?そしてクラムジーは、超のつく変態野郎・アールグレイ卿の執拗な“求愛”から逃げ切れるのか?幸せって、いったい何?絶好調スペース・コメディー第三弾、初の文庫化。
精霊と交感する少女シアと、空から落ちてきた巨漢ディースとの出会いは、彼女たちが住むティラーナの運命を大きく変えた。言術統制府の官長の座を狙うサドゥール。王女レスティアとの婚儀を強引に進める、彼の本当の野望とはこの世界のすべてを手に入れることだった。精霊、亜人、言術、それらはすべて、世界を成立させるための要素であり、その隠された姿は、いまや露わにされようとしていた。真実を求めるシアは女情報屋リルに誘われ、天空への柱へと赴く!「セルス騒乱記」ついに完結。
大海原を漂う艦-空母“アレクサンドリア”をすみかとした人々。異常気象によって陸を追われた人間たちは、海上を彷徨し続けるしかなかったのだ。若き海軍少尉ニコルは、艦を統べる学芸員のレーベン師とブキャナン師から、地上に遺された名画『睡蓮』を回収してくるよう、指令を受ける。少女和音らとともに、かつて日本と呼ばれていた島に上陸したニコルが目にしたものは…。日本SF新人賞受賞作第一作!書き下ろしで登場。
とにかく私は驚いた。ある晩、目覚めたら、勝手に動いている自分の身体。意識はハッキリしてるのに、声は誰にも通じない-まさか私、何かに乗っ取られちゃったの!?誰の仕業かと思っていたら、なんと操り主は、あこがれの森川先輩らしいの。でも、森川先輩って、殺されちゃったらしくって…それっていったい、どういうこと?とっても奇妙なパラサイト・ストーリー。書き下ろしで登場。
木星の象徴である大赤斑-それは惑星上を漂う“大いなる渦”。少女・美鈴らが操る軍払い下げの民間宇宙艇フェニックスは、調査航行中、些細な誤解からミサイル攻撃を受ける。その相手は、宇宙軍が誇る最新鋭鑑ネルソンだった。かくして、赤褐色の靄たなびく中、命のメンツを懸けた、猛烈なチェイスが始まった!ハードSFの気鋭が書き下ろしで贈る。痛快スペース・アクション。
中学生にして名探偵。狩野俊介の日常には謎めいた出来事がいっぱい-。突然まいこんだ遺言状騒動では、俊介はなぜか元市長の財産相続人に!?しかもその文面には謎の諺が書かれていた!?愛猫のジャンヌと事務所の所長で俊介の親代わり・野上英太郎とともに、調査に乗り出した彼が見つける真実とは?-『国語』『理科』『算数』『音楽』-いろいろな教科を学ぶように、数々の事件を経て“名探偵”として成長していく少年探偵・狩野俊介を描く、大人気ミステリー・シリーズ。
科学者になりたかった。科学者になって怪獣を創りたかったのだ。-どんなものでも創れるシステム。なんでも売っているデパート。人に夢を見せてくれる機械。大人になったぼくは「会社」の技術開発部に所属して、新しい生き物を作る研究をしていた。だが、意に反した方向で進められることになった研究の続行を拒否し、会社を去ることになってしまった。そのせいであれに関する記憶のすべては、会社によって破壊されることに…。新感覚サイバー・ワンダー・ワールド。
あなたの大切なもの、こわれていませんか?思い出の彫刻、名酒の壷、恋人からの手紙…一度こわれてしまったものは、なんでも、すべてお直しいたします。目には見えない命のねじを、目には見えない心の指で、くるりくるりと巻き戻す。そうすれば、ほら全部、もとどおり-。たった五年分しかない思い出だけを胸に秘め、サバロは、あらゆるものを直し続ける。自分自身の心臓のねじを、毎日毎日、すこしずつ巻き戻しながら…。物語の名手・草上仁が描く、心暖まるファンタジック・ストーリー。
少年の壊れた心には、現実世界をも揺るがす力があった!世の破滅を志向する教祖・無熱のクローンとして生まれた少年リュウ。M震とは、彼の歪んだ内的世界が、具象化されたものだったのだ。DNAに強大な超能力を秘めたリュウは、野球帽とサングラスを楯にして、周囲に溶け込めないまま、孤独な幼年時代を過ごす。そして中学生になった頃、M震発動の引き金をひく、ある事件が起きたという。リュウの心の安定を取り戻すことで、東京の復興を実現することができるのか?好評シリーズ、ついに完結。
けだるさと悪徳の都、メガロポリス。この腐った街では、誰もが死ととなりあわせだ。暴力組織によるクローン臓器の密売、超能力者の起こす通り魔事件…。高度に発達したテクノロジーは、次々とあらたな兇悪犯罪を産みおとしてゆく。しかしそんなゴミ溜めみたいな街にも、まだ熱く優しい魂をもつ奴らが残っていたのだ!銃を手に裏通りを疾駆するタフな男たちが!!あの火浦功のもうひとつの顔-クールな感性を全開にして挑む、“スーパーシリアス”ハードボイルドSFの傑作。
少女シア。彼女には精霊が見え、お願いをすることができた…幼い頃に森で拾われてから、平和のなかにあった生活。しかし、それはある日急変した。空から落ちてきた男-金属の箱の中で眠っていた異形の存在ディースの出現によって。突然の兵士の襲撃に、焼け落ちた村。すべてを操っているのは誰なのか。自分の出自を知ろうとするシアの前に、世界をも揺るがす策謀が立ちふさがる。亜人バズファーン、男装の王女レスティア。新たな仲間たちを加え、シアは次の旅に向かう。謎と魅惑の異世界物語、第二弾。
街をモザイク状に襲うM震-その源は、少年リュウの“血”にはらまれた危険な超能力によるものなのか。この世に“崇高なる破壊”をもたらすことを目的とした教団“星なき荒野”。その教祖・蓮沼無熱が、自らの体細胞DNAより生み出したクローン、それがリュウという存在の真実であったのだ。仲間の大輔や母・唯花らと離れ、廃墟の街をひとりさまようリュウ。失意の彼に、教団の魔の手が迫る。壊してしまった空間と、壊れてしまった心が交錯するとき、世界はどんな姿を見せるのか!?書き下ろし第二弾。
この世界には、人間とタヌキという相反する二つの勢力が存在している…。火星開発会社の新入社員のぼくには、ようやくそれがわかってきた。とうに分解して、無くなってしまったらしい火星の奪還をめぐって、利害が対立するふたつの会社が、戦いを続けさせていた。そして、その人間とタヌキとの戦いによってこそ、世界は成立している-そういうことなのだ、たぶん。ほろにがくって、なつかしい未来。すこし不思議で、とっても変な北野勇作ワールドの原点!第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
学校なんか、家族なんか、世界なんか、壊れてしまえばいいって思ったこと、あるだろう?ぼくは、壊してしまったんだ、実際に-。廃墟も同然に崩壊した地区。しかし国道をはさんだ反対側には、もとのままの街が無傷で残る。頻発する謎の地震-M震でモザイク状に崩壊した東京をさまよい歩く少年、リュウ。野球帽とサングラスで素顔を隠したリュウはやがて、M震で家族を亡くした少年たちのグループに合流する。生き残るための戦いと逃亡の日々の中、リュウの奇妙な告白に、グループのリーダー大輔は…。