1997年発売
明治33(1900)年、帝都・東京-。紳士淑女が夜ごとに集い、華やかな舞踏会が繰り広げられた、いわゆる“鹿鳴館時代”は終わりを告げ、鹿鳴館は華族会館として民間に払い下げられていた。-その鹿鳴館に、幽霊が出るという。後の世に、文豪と呼ばれることになる泉鏡花は、自分の担当編集者である香月真澄が持ち込んだその話に、ふと興味を持った。その幽霊は、美しいドレスに身を抱んだ、絶世の美女だという。美しいものに目がなく、多少奇癖があった鏡花が、その博覧強記で、幽霊に挑むが…。天才作家の、幽霊退治の結末は。
ブラックロッドー公安局・魔導特捜官。精神拘束により全ての感情を封印した彼に表情はない。まるで死人の顔。ヴァージニア9-降魔局・妖術技官。黄色い外套をはおった少女。だが、侮る事は禁物だ。彼女は魔女の分身なのだから。ビリー・ロンー探偵業をなりわいとする気さくな青年。人なつっこい笑顔には、だが“牙”がある。ゼン・ランドーー3つの都市を奈落堕ちさせた隻眼の男。その正体は人か魔か…。第2回電撃ゲーム小説大賞で「大賞」を受賞した異色作。異形の町ケイオス・ヘキサが今、文庫に出現する。
“かごめ”の歌は、謎に満ちた歌だ。ほとんどのフレーズが逆の意味を持っている。“うしろのしょうめん”とか“夜明けの晩”とか…。短大に合格したばかりの松浦夏生は、B・Fの小柳津保とその謎解きを始める。一方、夏生の親友、篠沢葉子は浪人を決意、画家である父の実家の奥三河(静岡県)へ引っ越す。ところが、引っ越した直後、葉子が謎の失踪をとげる。夏生は小柳津と共に奥三河へ飛び、葉子を探すうち、一角獣にまつわる不思議な事件に巻き込まれてゆく…。長年、一角獣伝説を追う著者が、構想新たに取り組む、幻想の世界。
ある裕福な大学教授のお宅で、盗難が相次いだ。ちょっとそのへんに置いてあったお財布などから、少しずつ-ほんの少しずつだけど、たしかにお金を抜きとっている人が家の中にいるという。あたし、工藤由香。桜崎探偵事務所で電話番をすることになったあたしは、圭二郎さんと二人で調査を開始。ところがその晩、教授宅のメイドが一人、突然、死んでしまったの!!いったい、あの家でなにが起きているの。
好きな人見つけるのって、大変。その人に好きになってもらうのは、もっと大変。いままでずっと、失敗ばかりだったけど。ついに、あたしのこと好きって言ってくれる人が現れたの!肩を抱いたり、突然キスしようとしたり、ちょっと強引なところが気になるけど、ムードはなかなかいい感じ。あとは「マーメイド伝説」のとおり、くちづけをかわすだけ。でも…。
浅間山での死闘を終えた卓也と薫は、陰の気渦巻く東京へ戻ってきた。七曜会の術者・伊集院雪之介や、東京に応援に来ている三島春樹関西支部長の協力を得た二人は、鬼に捕らわれている透子を救うため、新宿に出現した鬼の城を目指す。目前に立ちはだかるのは、魏震華の鬼遁甲の迷宮。その先にあるものは果たして…。
-麻薬を抱いたまま、炎に包まれる-。不可解な人体発火事件の合同捜査にあたる二つの『反鬼組』の前に、香港の街を、人を壊滅に陥れる恐ろしい計画が浮かびあがる。そしていま、ラルフの龍の血さえも操ろうとする!紅の瞳に変貌し、龍の力を暴走させるラルフを鎮められるのは、麻矢ひとり。しかしそのころ、麻矢もまた、ラルフが教えてくれた言葉を信じて危険に対峙していた。「無問題。信じていればきっとうまくいく!!」。
館野ミカル、十八歳。職業-少女漫画家。怒濤の修羅場を終えて、フラフラのところにアシスタントのアルバイトの話が舞い込んだ。超売れっ子漫画家花菱百合花が、締め切りでピンチだというのだ。一日三万円のバイト料につられて、花菱家に向かったミカル。お城のように豪華な仕事場に圧倒されるが、何とそこで殺人事件が発生!担当編集の美青年滝川が怪しいと、ミカルは睨んだのだが…。
占いカフェ『ホーンズパーク』に強力なライバル出現!!すぐ近くに、全12階におしゃれなレストランやバーを備えた占いのデパートがオープン。連日がらがらのホーンズパークにある日、行方不明の妹の居場所を占ってほしいという不思議な客が訪れる。未熟な占い師チサトは、客の悩みに取りこまれ、異世界へトリップしてしまう。そこは一面の苺畑だった…。
浩志は、父親の再婚をきっかけに家を出た。壁に囲まれた路地を入り、「緑の扉」を開いた浩志を迎えたのは、高校生の一人暮らしには充分な広さの部屋と、不可解な出来事。無言電話、奇妙な落書き、謎の手紙etc.そして、「出ていったほうがいいよ」と呟く和泉少年の言葉が意味するものは…。嫌がらせ?それとも、死への誘い!?-怖いー。しかし浩志の家は、もはやここしかない!息をもつかせぬ本格ホラー。
日々プログラムを進化させるバーチャルリアルゲーム。精巧なヘルメットをかぶせることにより、インターネット上で世界規模のロールプレイングゲームに参加することができる。麗子は、そのゲームに夢中になっているのだが、そこでできた友だちが、自殺を遂げる。このゲームのどこかに、彼女の死の謎が隠されているかもしれない。近未来を舞台に、アジアの少女たちが、電脳世界を舞う。第3回ホワイトハート大賞「エンタテインメント小説部門」最優秀賞。
マヨイガ-「一伏」が早池峰山に封じた異界の消滅によって、遠野の異変は最悪の事態を免れた。しかし執拗に巡らされた敵の奸計は、遠野にあらたな火種をまく。『本家』神島が北方水気を攻略するため、自分たちと手を結ぶか中央の侵出を許すかの選択を東北側にせまってきたのだ。「東北と『本家』が決裂すれば、敵の罠にはまる」弓生が呟いた時、進退窮まった東北側にあって、昆が下した決断とは何か。そして、羅〓の名のもとに暗躍する真の敵の正体とは、いったい-。
今回は、美奈子が遭遇した事件です!姉の友人の美緒さんは、最近、いたずら電話や脅迫状で悩まされている。そこで、気分転換も兼ねて、彼女の誕生パーティーが無人島の別荘で開かれることになったんだ。ところが、招待客の中には、ご主人の元恋人がいたりして、あやしい雲行きに。そして、ついに事件が!恋のトラブル?それとも…!?麻衣子の応援で謎に挑戦。
強国に挾まれ悩むブロア領主アスラン、政略結婚から逃げ出すその妹レイチェル、領主に恋するがゆえに別の男に体を許してしまう待女ジェシカ、騎士になれない体に苦悩する若きフランス王フィリップ、身分を捨て自由に生きる吟遊詩人ブラン。強い者が正義であった時代、若者たちは、運命に逆らい、本当の愛を模索していた。十二世紀のフランス、豊かなブロアの大地に、熱い青春の伝説が語り継がれる。
「さっさと帰れよ、輝夜姫」-わたしの名は遙香。普通の女子高生のはず。なのに幼なじみの辰也はそう言って、満開の桜の下、突然背を向けた。混乱する遙香に魔の手が伸びる!!四天王のひとり「闇戸」を独占しようとして罪を犯し、地上へ流された輝夜姫。今、千二百年の刑を終え、天界へ召還される彼女に女神としての記憶がまったくない!?恋ゆえに罪を犯した輝夜姫が天へ帰る時が来た。
「夢を…買うと申すか」深淵のような瞳の底で、妖しい微笑が揺らめいた。世にも美しい娘の姿は、黄金の光に包まれて、天女のそれに紛うかと思われた。だが、次の瞬間、天本と敏生の眼前で繰り広げられた光景。-それは信じがたいまでに恐ろしく、そして哀しいものだった…。精霊の血を継ぐ少年と、美貌の追儺師が術を駆使して、百鬼妖魔を討ち破る!第3回ホワイトハート大賞「エンタテインメント小説部門」佳作。
自らの龍の血が覚醒すると、香港を混乱に陥れると知ったラルフは、苦悩していた。そんなラルフの前に、龍の一族との闘いで生命を失くしたはずのローリィが現れた。「お前は世界を支配できる。これからは、俺の言うとおりに生きればいい…」無二の親友の言葉に安堵し、相棒・新堂の忠告にも、もはや耳をかそうとしないラルフ。しかし、二人の再会が、香港を怒濤の渦に巻きこんでいくことに!!シリーズ最終幕。