2014年6月11日発売
横浜の路地にひっそりと佇むバー・コントレイル。「バーに入るのはまだ早い」なんて思っていた、ちょっと引っ込み思案な社会人2年目の志摩縁が勇気を振り絞って飛び込んでみたその店には、一見すると好青年、だけど不思議な雰囲気を纏ったバーデンダー・羽鳥慎がいた。初めて訪れるバーに緊張しつつも、羽鳥との会話とカクテルの味に引き出されるまま、自身の抱えるトラブルを打ち明けた縁。そんな彼女に、羽鳥はバーテンダーならではの観察力と洞察力で、思いもよらぬ解決策を提示し…!?
両親を事故で失い、田舎の一軒家で独り暮らしをすることになった高校生・海波大地。他人との関わりを避けていた彼だったが、その家には、つくも神を名乗る少女・リリィが住んでいた。彼女は、絵本作家だった大地の両親が書いていた物語に登場する少女だという。だが、その物語は未完のまま。リリィは、大地に続きを書くよう頼むのだが…?リリィをはじめ、掛軸の少女やしゃもじの爺さん、ティーカップの新婚夫婦など、賑やかなつくも神たちに囲まれた、大地の不思議な毎日が始まるー。
19世紀末のロンドン。伝統と革新が渦巻くこの街の一角で、仕立て屋を営むジェレミーの店には、風変わりな人物が入り浸っている。彼の名はエドガー・ノースブルック。貴族でありながら、先見の明と奇抜なアイデアを併せ持つ、自称デザイナーだ。2人はある日、客の実業家から、最近雇ったメイドが「自分は17世紀のセイラムで魔女狩りに遭った」と言っているという話を聞く。折しもロンドンでは人体が突然発火するという奇妙な事件が続発していた。好奇心旺盛なエドガーは、調査に乗り出すが…!?
横浜の外れに佇む寂れた建物、WMUA・NITTOH美術館。ここに勤める怠惰な学芸員・鷹栖晶には、もうひとつの顔があった。それは、存在証明不可能生命体ー通称・悪魔を視認できる唯一の人間であること。そのため晶は、エジプトで事故死した親友・音井遊江の肉体に憑依した謎の悪魔と不本意ながらコンビを組み、他の悪魔と交渉して彼らにまつわる事件を解決する任務を負っていた。ある日、美術館に持ち込まれた謎の壺の調査を続けるうち、晶と遊江は、『F機関』を巡る陰謀に巻き込まれるー。
目覚めた僕は記憶を無くし、12人の少女たちが暮らす見知らぬ学園にいた。僕の覚醒と時を同じくし、外部を喪失した学園では、トーチイーターと名乗る犯人による強姦事件が連鎖的に起こる。次々と餌食になる少女たち。犯人は誰なのか、この閉鎖された学園は何なのかーそして、僕はいったい誰なのか…。ゼロ年代の衝動の総てを詰め込んだ、異能・海猫沢めろんの伝説的デビュー作が待望の文庫化。鬼ノ仁の新規描き下ろしフルカラーイラスト群を収録し、東浩紀による解説を附した、最終版にして完全版。