2019年5月10日発売
残暑の厳しい九月十四日未明。東京都江東区有明の一画に、一夜にして直径五十メートルを超える大穴が空いた。底知れない空洞の出現に、都は対応に追われ、メディアはニュース特番の編集に勤しみ、付近に住む人々は避難を余儀なくされる。翌日。自衛官・藪木環樹は娘・花音との約束をキャンセルして、この異常事態に対処すべく霞ヶ関を訪れていた。そこで、有明の洞穴から異世界の生物が這い出し、都民を襲っていることを知る。折り悪く、花音は友人と共に、イベントが開催されている有明方面に向かったはずであったー。
君にはどうしても思い出せない記憶があるかい? はっきりとした形にならない想い出が心に引っかかってはいないかな。曖昧な過去に引きずられて、現在をむげにして、未来を犠牲にしてはいないか? そう、死神たるぼくの曖昧なる敵ディジー・ミス・リジーのようにーー スプーキーEの死後、虚脱状態になっていた織機綺の前に現れた統和機構の使者は、彼女に責任を取ることを求め、綺は暗い記憶の扉をこじ開けられる。そしてすべてに価値を見いだせない無気力な少年乙坂了哉が事態をもてあそび無為で無明な日常に復讐し始めたことで、街はその輪郭を失って崩壊し始める。ブギーポップはそれを傍観し、炎の魔女さえ空回りを避けられない世界の危機の中で、綺は闇の深奥に辿り着くことができるのか……?
正体不明のルビーアイ“刺撃者”。同じルビーアイにさえ牙をむく最凶の敵と、ミノルたち“特課”、そして“組織”の三つ巴の戦いは、熾烈なものとなった。辛くも“刺撃者”を退け、組織のルビーアイ“凝結者”を捕獲したミノルだが、平穏な日常は未だ遠い。組織の重要人物、“液化者”が姿を現したのだ。「トランサーを救出したい。彼が殺されてしまう前に」彼女は“刺撃者”の情報と引き換えに、ミノルにある取引を持ちかける。ルビーアイ最強とも評される“液化者”と、“孤独者”ミノル、敵対する二人の共闘が始まるー!
高校二年生の十月は修学旅行の季節らしい。となると班決めがあって、席を素早く立つ安達の姿が目に飛び込んで来る。 「なにかな足の速い安達」 「班は、一緒で」 「うん」 当然そうなるのだ。 ただ問題は、班を作るには五人必要ということだ。安達の性格からして、二人きりじゃないと不満だろうし、どうしたものか。 意識して準備する物もないし、二泊三日の旅行で私服が必要なわけもなく。流れるままに、ぱーっと、出たとこ勝負でいいかな。
文化祭実行委員なんて、柄じゃない。でも僕らの関係を変えようとする春珂の願い、春珂を想う秋玻の気持ちから委員として動き始めた僕は、かつての僕を知る庄司霧香と出会う。再会なんてしたくなかった。霧香は僕が別れを告げたはずの「過去の自分」を育てた人だから…。華やかな文化祭の裏側で、彼女は僕らの恋に隠れた、何より僕が隠した欺瞞をこそ残酷に暴いていく。もう戻れない僕らの関係。揺さぶられる『僕自身』のあり方。そして、舞台の幕が上がるー。僕と「二重人格」の彼女たちが紡ぐ、三角関係恋物語。
偽りの魔王アヴォス・ディルヘヴィア、その正体は伝承から生まれた大精霊であり、ミサのもうひとつの側面だった。 アノスは大精霊アヴォス誕生の秘密を知るため、《時間遡行》によって二千年前のアハルトヘルンを訪れる。そこで目にしたのは、天父神の卑劣な計略によって、ひとつの家族の愛と絆が無残にも引き裂かれる瞬間だったーー。 「二千年前の悲劇はもう幕引きだ。これから、すべてを取り返しに行こう」 あらゆる理不尽、あらゆる悲劇、我が眼前ではただ滅べーー!! Webでも大反響を得たシリーズ最大のエピソード《大精霊編》感動のクライマックス!!
呪われた島から旅立ち、逃亡の日々を送ることになった孤独の悪魔を背負う男ヨクサルと死霊術師の孫娘シュガーリア。世界から失われつつある異端を救う道行きの中で、彼らは人ならざる有翼種の血を引く子供、ビーノと出会う。帝国の謀略が蠢く砂漠の街、バフハに潜入した彼らに追っ手が迫る中、ヨクサルは自分の罪と過去に直面する。孤独と幻想のあわいで、シュガーリアの身を焦がしたのは、初めての恋の激情だった。
オフィーリアが魔に呑まれ、ピートがその使い魔に攫われた。キンバリーの地下迷宮に消えた生徒数の多さに、学園内は厳戒態勢が敷かれる。学生統括のゴッドフレイをはじめ、上級生らが奪還に向かうも救出活動は難航していた。 迷宮の深みに潜む魔女を相手に、自分たちに何が出来るのか? 苦悩するオリバーらに、ある人物が取引を持ちかける。それは彼らにとっての光明か、それとも破滅への誘惑か。 目指す場所は地下迷宮の更にその奥。想像を超えた環境と罠、恐るべき合成獣たちが行く手を阻む。果たして彼らはサルヴァドーリの工房にたどり付き、友人を取り返すことができるのか──。
もう人を好きになるなんてやめてしまおう。中学時代に経験した手痛い失恋から、そう心に決めていた沙弥香。しかし高校の入学式で初めて七海燈子の姿を見たその瞬間から、どうしようもなく燈子に惹かれていく。 同じクラスになり、一緒に生徒会にも所属し、やがて親友と呼べる仲にもなった。隣を歩み続ける中で、燈子の強さも弱さも知った。燈子のすべてを見て、一層好きになっていく。 でも、だからこそ。沙弥香はどうしても「好き」を伝えられない。待ちすぎて、恐れすぎて、一歩踏み出すことができなかった沙弥香の迷い、後悔、喪失ーー。 人を好きになるということを知ったのは、『彼女』と出会ってからだった。
最悪だ…。どうして、こんなことになっちまったんだよぉぉぉぉ!!…え?何が起きたかって?あの男だよ。驚異のラブコメ主人公である、あの男が、再び西木蔦高校にやってきやがったんだよ!!開催中止の危機を回避し、平和に行われるはずだった『繚乱祭』。だがあの男を中心に、嵐は容赦なく西木蔦に吹き荒れる…それは一人の少女の願いと共に。まあ流石に俺はもう面倒事はこりごりーって引き受けんのかよ、パンジー!!しかも、その謎の決め顔とポーズで、てめぇは一体何を企んでやがる!?
失恋のトラウマから恋に憶病になっていた芹花は、偶然、財閥御曹司の悠生と出会う。元カレの結婚式に招待されて困っている芹花に、「俺が極上の恋人になってやる」と、いきなり恋人宣言!?それからというもの、悠生は戸惑う芹花を「可愛すぎるからいじめたくなる」と手加減なしに甘やかすように。頑なだった芹花の心を、彼のオトナの魅力でとろとろに溶かしていき…。
薬剤師を目指して奮闘中のリナは、教授に論文を盗まれ落ち込みながら帰る途中、車にひかれ…目覚めると伯爵令嬢に転生していた!男性限定の職業・王宮薬師になるため、男として生きることを決意するリナ。現世では報われなかった豊富な知識を生かし、多くの人を助けるが、イケメン王太子・ミカエルに女だとバレてしまい!?