作者 : 井龍一
少年少女の大量監禁致死事件…いわゆる【灰川邸事件】の舞台となった屋敷の主・灰川十三(はいかわじゅうぞう)の過去。 十三が育った北海道の小さな集落「蔵土(くらつち)」に棲む【リッカの一族】の秘密に気づいてしまった志満(しま)ひかりが処分されたことで、族長であり育ての親である文吾(ぶんご)を怒りに任せて殺す十三。その復讐に勝手に【加担】する形で、犬山秀二(いぬやましゅうじ)は村中の人間を殺戮してしまう。【蔵土33人殺し】の夜が明け、最後に犬山も手にかけた十三は、日本中の【リッカの一族】の殲滅を誓う。 数年後。一族を殺し尽くし、自らの命も経とうとしたその時。「まだ復讐は終わっていない」……。届けられた怪文書には、1枚の写真が添えられていた。自分とそっくりの老人の……!
少年少女の大量監禁致死事件…いわゆる【灰川邸事件】の真相を追う刑事・冴木仁(さえきじん)と、事件の舞台となった屋敷の主・灰川十三(はいかわじゅうぞう)に育てられた娘・蓮水花音(はすみかのん)。二人は十三が書き残した古い日誌を読んでいた。 北海道の小さな集落「蔵土(くらつち)」で育った十三に初めてできた外の友達・志満(しま)ひかり。しかし好奇心旺盛なばかりに彼女は集落の秘密を知り過ぎてしまい、ひかりに協力した警察官の祖父は事故を装って殺されてしまう。そして十三は、育ての父から警告を受ける。[一族の掟]に従うことを受け入れねば、ひかりもまた同じ運命をたどることになる…と。彼女の安全を思い、突き放すように別れる二人。 しかし、1年後。集落の[汚れ仕事]を請け負っている犬山秀二(いぬやましゅうじ)の私物を偶然見てしまった十三は愕然とする。[生贄(いけにえ)]にした子供たちの形見を、宝物のように集めていた秀二。その中に……彼女の…ひかりの…腕時計が……!
謎を抱えたまま逝ってしまった灰川十三の正体を掴むため、彼の生まれ故郷・北海道の蔵土を訪ねた、刑事の冴木仁と十三の育ての娘・花音。そこはかつて、犬山修二という男によって凄惨な【三十三人殺し】が行われた地だという。生まれつき顔に瑕を持ち、やはり顔に瑕がある一人の少年以外は他人を寄せ付けなかった、犬山。彼が事件後に自決した山に残る、陰惨な辞世の句が刻まれた石碑。地元に残る、子を攫う「リッカの悪魔」の言い伝え。解決の糸口を見つけるどころか、より深く闇へ誘われる仁と花音……。そして、彼らは襲われた。明らかな殺意を向ける襲撃者の顔には……無数の深い瑕が!
超能力者が、力を持たない人間を支配する世界。犬棒守と龍利リコの旅は、超能力社会からの追っ手を退けながら、 はじまりの地、風川島へ帰ってきた。そこで明らかになる、"この世でもっとも大きな虚構"。世界の輪郭は、もうずっと昔から、とっくに歪み切っていた。信じていたものすべてが崩れていく中で、進むべき道を見定められなかった犬棒守は、ある奇跡を目撃する。--思えば、はじめから。欲しい物なんて、たったひとつだったのだ。
幼なじみの敵を討つため、リコとともに本土へ渡った犬棒守。偶然行きついた龍利家の屋敷での死闘を越え、リコの正体と12年前の真実の一端にたどり着く。一方で、本土の某所で秘密の会合が持たれていた。超能力世界を牛耳る五大家の集まり「五耀會」。その会合の場で、リコの捕獲と抹殺が決定された。しかし、龍利家の当主・露光だけがその決定を不服とする。これにより、龍利VS.五耀會の構図が決定的となる。そして、超能力世界全体を敵に回した大戦争がはじまるーー!!
超能力者が、力を持たない人間を支配する世界。殺された幼馴染の復讐のため、非能力者の犬棒守は、規格外の念動力の使い手、災原リコとともに、犯人を捜す旅に出た。そしてたどり着いた屋敷は、超能力社会の大家・龍利家。当時の状況から、幼馴染を殺害した犯人は龍利家の人間ではないかと疑っていた守は、ついに"狩られる者"から"狩る者"へ変貌する。能力者との絶対的な力の差を覆す秘策、『対超能力者戦術』が、この夜を真っ赤に染め上げるーー!!