作者 : 田近康平
“児童をいじめた”と糾弾される杉谷。「やっていない」という主張には誰も耳を傾けず、ついには全国に“殺人教師”だと報道されてしまい…。真実を求める声がいつも大きいとは限らない、困窮の第3巻。
どこにでもあるような街の、どこにでもあるような学校。どこにでもいるような母親と、どこにでもいるような先生。どこにでもあるようなありふれた関係、のはずだった。悪夢の“家庭訪問”まではーー。平成17年10月11日、沢渡夫妻の主張「教諭によるいじめ」はすべて夫妻の“でっちあげ”であると証言した、教諭・杉谷誠とM市教育委員会に対して、損害賠償を求める訴えを起こした。教諭による“いじめ”および自殺強要が理由である。しかし、第1回口頭弁論において、全て夫妻の“でっちあげ”である、という杉谷の証言に始まり、予想をはるかに超える全容が明かされる。時はさかのぼり平成17年5月12日夜分、沢渡家を訪問した杉谷は、美月の不思議な気迫に呑まれ、帰宅を切り出せずーー。
どこにでもあるような街の、どこにでもあるような学校。どこにでもいるような母親と、どこにでもいるような先生。どこにでもあるようなありふれた関係、のはずだった。悪夢の“家庭訪問”まではーー。小さな街で起きた“体罰事件”は全国を駆け巡り、やがて裁判へと発展する。世論の見守る中、正義の鉄槌が下るはずが……。
たどり着いた第4の部屋。死を待つ5人の先客。諦念が支配する密室で望月はただ一人、脱出方法を探る。糸口を掴めないまま時は過ぎ、耳慣れない音と共に少女がーー。終焉に向け、僕らは“痛み”を掻き抱く。
「爪だ。爪を剥ぐ」痛みを可視化する、密室自傷ゲーム。目覚めると、そこは無骨で無機質な空間。あるのは、扉と拷問器具のみ。 状況を把握出来ないまま、右手の甲に浮かび上がるアラビア数字。“君の痛みを僕は知る”痛みと扉が連動していることを知った青年の行動はただ一つ、耐えること。
東京都200ヵ所爆破事件から半年ーー13人の重要指名手配犯が、再び動き出す。汚れきった空気と無関心なまなざしの中に潜む、“港区一家殺人事件”の真実。13年の時を経て辿り着いた、復讐の帰着点は……。
日本全国には、1100人を超える指名手配犯が存在。日本警察は手配犯を検挙すべく最新鋭科学捜査を導入する一方、手配写真を脳裏に焼き付け街頭で手配犯を捜し出す“見当たり捜査”を行っていた。中でも傑出した相貌認識力を持った捜査官・見影守人は、“スーパーレコグナイザー”と呼ばれているがーー。