制作・出演 : クリスティアン・ツィマーマン
いずれもチョン唯一の録音で、R.シュトラウスは数種録音があるが、レスピーギは珍しい。ツィマーマンとの共演もこれだけだが、異質の個性がぶつかった予想以上に聴き応えがあるアルバムに仕上がっている。
バーンスタインとの全集収録途中でバーンスタインが亡くなり、残りの第1、2番を弾き振りで完成させたツィマーマン。オーケストラとの一体感は強まり、隅々にまでツィマーマンの意図が浸透した名演だ。
ツィマーマンの鋭利な感性が、バーンスタイン&ウィーン・フィルという巨大な海の中で自在に泳ぐかのような演奏だ。面白い「皇帝」のCDはいろいろと出ているが、これほど聴き応えのあるものはなかなかない。
ツィマーマンが自ら組織したオーケストラを弾き振りして再度挑んだショパンの協奏曲。ツィマーマンの個性がストレートに反映された、かなり個性的な演奏だ。細部にまで徹底的に凝って作り上げている。
久しぶりに録音したショパンということで、大いに話題となったアルバム。1曲ごとにドラマティックなストーリーを構築しており、非常に大きな求心力を持っている。強い訴求力が感じられる演奏だ。
ツィマーマンの比較的珍しいドビュッシーで、フランス的な香気が立ち昇るというより、冷静で精緻な響きとリズムを積み上げている。細部と全体とのバランスが良く、独自のドビュッシー像を提示した作品。
同郷の名ヴァイオリニスト、ダンチョフスカとツィマーマンの共演で、シマノフスキの3曲が特に重要だろう。シマノフスキ復活の兆しが始まったころの録音で、シマノフスキの音楽とピタリとはまった名演だ。
(1)は強弱の幅広さがきわ立つ豪快な演奏だが、強奏にあっても響きが濁らない心地好さがあり、また、譜面に忠実な構造性も光る。晩年の前衛的な作風が特徴的な(2)(4)、および(3)(5)では、独特の内省的な暝想性が奥深く追求されている。
ツィマーマンとブーレーズとの共演ということで話題となったアルバム。完璧主義者のラヴェルに完璧主義者二人が挑んだところが興味深い。ディテールの精密さや磨き上げられた響き、精緻なリズムと、ラヴェルも大満足の演奏となっている。
数少ないツィマーマンのシューベルトだが、名演として高い評価を受けた演奏だ。シューベルトのロマンティシズムに内包する光と影をあますところなく表現しており、その“歌”はこの上なく美しい。
ピアノ協奏曲は、同郷のツィマーマンのために書かれた作品で、前衛的な手法も使っているが、手法に溺れることなく、ある種の抒情が入っている。ツィマーマンのピアノも繊細で鋭く美しい演奏を聴かせている。