音楽むすび | 制作・出演 : テレサ・テン

このメンバーで、この選曲で……アジアの歌声はレコード会社の枠をも超えて……“ドリーム・エディション・シリーズ”とは言い得て妙。演歌というよりは心情歌揃い。うまさはもちろん、歌の“醍醐味”つまったアルバムって感じで、黙って聴けばキモチが満腹に。

“アジアの歌姫”と賞賛され、そのミステリアスな最後と共に伝説のなかへと去っていったテレサ・テン。このアルバムはそんな彼女の代表曲集大成だ。収録18曲のナンバーからは、日本からさらにアジアへと飛翔していった彼女の実力がしっかりと聴き取れる。

74年3月の日本デビュー曲［1］-(1)から81年2月のアルバム『ジェルソミーナの歩いた道』収録の［3］-(19)まで3枚組全59曲。ポリドール時代のテレサ・テンのオリジナル曲の集大成だ。もともと巧い人だが、8年の間に文字通り円熟していった様子がよく分かる。

83年に香港ポリグラムで製作されたもので、カラオケ・ファンおなじみのテレサとはまるで異なる、彼女の“本領”が発揮された作品だ。中国の古典詩を現代のメロディーに乗せた意欲作。テレサ・テンという歌手が日本では実にゆがんだ評価をされているとわかる。