制作・出演 : マルチェロ・ロタ
佐藤美枝子が実力を遺憾なく発揮するアリア集。高音の輝きはそのままに、声の力強さを増してきた彼女にとって、まさに打って付けのプログラムである。コロラトゥーラの諸役は言うに及ばず、パミーナやミカエラなどのリリカルな役における感情表現も見事だ。
再録のドヴォルザークが文句なしに良い。自信に満ちたボウイングから繰り出される朗々たる旋律の歌わせぶりに感銘を受ける。チェロと管弦楽の響きが渾然と融和して馥郁たる薫りが漂う。古都プラハでのセッションがこうした雰囲気を醸したのかもしれない。
チェコ・ナショナル響のヴァニエック(fg)とレゲムザ(cl)、プラハ響のヘルニッフ(hr)が独奏者を務めるモーツァルトの協奏曲アルバム。現在ではあまり耳にすることのないような素朴でほのぼのとしたモーツァルト演奏が展開される。
クラシックのコンピレーション“ベスト・オブ・ベスト”シリーズの第6弾。歌劇の序曲などを集めた1枚と、国別地域別の楽曲をまとめた3枚からなるBOX。フェード・イン、フェード・アウトなしで、たっぷり5時間収録している。
ロタ、チェコ・ナショナル響の3枚目は、ラヴェルのオーケストレーションを楽しむアルバム。ロタの個性が遺憾なく発揮されている。特に「展覧会の絵」では、テンポや緩急の付け方が面白く、なかなかビジュアルな、あるいは物語的な効果を出している。
最晩年の名指揮者コシュラーが育成に力を注いでいたオケ。それがチェコ・ナショナルso.だ。しかし新録音が出るのは久しぶりではないか。「名演奏を一発かましてやろう」などという気負いがオケにも指揮者にもまったくない点に、未だ初々しさが保たれている。
制作・出演
ジャック・ランスロ / チェコ・ナショナル交響楽団 / ベルリン室内管弦楽団 / マルチェロ・ロタ / モーツァルト / リボル・ペシェク / 佐藤美枝子 / 厳本真理弦楽四重奏団 / 東京ゾリスデンモーツァルトの生誕250年を記念して組まれたセット。オーケストラ曲はすべて新録音で、いずれもフェイド・アウトなどはなし。主要楽曲はすべて網羅し、クラシック初心者にも十分に楽しめる内容となっている。
指揮のロタは、まだ日本ではあまり知名度がないが、これからが期待できそう。多少のツメの甘さはあるけれど、ゴチャゴチャになりやすいスコアをかなり明快・克明に鳴らしている。揺れ動くフレーズへの柔軟な対処も巧い。オケも熱のこもった演奏ぶり。