制作・出演 : リボル・ペシェク
最高の音で楽しむために!
発売元
日本コロムビア株式会社DENONクラシックの定番“クレスト1000”シリーズ。9回目となる発売分には、デンオン、スプラフォン(チェコ)、オイロディスク(ドイツ)の豊富な音源から聴いておきたい、聴いてみたい名盤をセレクトして収録。
2007年1月にチェコ・ナショナル響の音楽監督に就任したチェコ出身のリボル・ペシェックが手勢とともにセッション録音したマーラーの交響曲第5番。勢いやパワーに任せない、ベテランらしい味わい深い演奏が繰り広げられている。
チェコのパワフルな息吹きを感じる演奏である。低音部を充実させ、アーティキュレーションも刺激的なくらい際立っている。新興のオケながらチェコの良き“伝統”が紛々と漂うと同時に“今”を如実に伝える演奏だろう。なかでも第25番が良い出来である。
一度耳にすると忘れられない強烈な個性を持つ演奏である。ヨーロッパの長い伝統から離れ、ここには今まさに曲が誕生したばかりのような新鮮さが充溢している。もし、モーツァルトが現代に生きていたらこんな溌剌たる演奏を聴かせてくれるのかもしれない。
快く無理のないテンポ、大げさな表情づけは一切なし。すべてが適切にコントロールされ、音楽は生き生きと展開される。プラハ出身の指揮者ペシェックによる演奏は、ベテランならではの巧みな棒さばき。繰り返し現れるテーマの扱いもとてもチャーミングだ。
新生オーケストラならではの活力とボヘミア的情緒がほど良くブレンドされた滋味掬(きく)すべき演奏。チェコ音楽の伝統を受け継ぐペシェックの解釈は慣習的枠組を堅持しながらも鮮烈である。第8番の第4楽章開始を告げるトランペットの朗々たる響きが印象的だ。
93年大みそかの、プラハにおけるコンサート・ライヴである。ライヴらしい熱気のこもった演奏だが、リズムが多少ぎこちない場面もある。(2)と(3)には、スペインとアメリカに学んだピアニスト、熊本マリが登場し、上品な味わいを含んだソロを聴かせている。