制作・出演 : マルチェロ・ロータ
フランス音楽を最も得意とするロータによる、ビゼーの人気曲「アルルの女」と「カルメン」を収録。ロータの明快で美しい流れを浮かび上がらせる指揮によって、明るく色彩感豊かな演奏が繰り広げられている。お買い得感のある一枚だ。
制作・出演
BialasMartin / DvorskaMarie / HurnikJiri / KopkaAlexandr / TupyMartin / アレシュ・バールタ / チェコ・ナショナル交響楽団 / マルチェロ・ロータ / リヒャルト・シュトラウスチェコ・ナショナル響は機能性一辺倒のオケでは決してない。どこかトラディショナルな雰囲気を感じさせ、それが旋律線をクッキリと浮かび上がらせるロータの指揮と融合して、とても美しく温かな風景を描き出してみせる。オーディオ的な迫力を狙った演奏とはひと味違う心地よさがいい。
このコンビによる、サン=サーンスとフランクのアルバム以来のフランスもの。ちょっとうねるような、息づくようなリズム感を持っている。「海」などの波の動き、躍動感がよく出ている。他の作品でも横の線の律動感が独特だ。フランス風という感じではないが、かなり面白く聴けた。
劇的表現をあまり強調せず、バランスよくまとめ上げている。2004年からチェコ・ナショナル響の首席客演指揮者を務めるロータは、メロディを思い入れたっぷりに歌わせて陶酔感を醸すより、リズムをシャキシャキと歯切れよく刻んで高揚感を演出する方が得意なようだ。
映画音楽の大御所ロータはクラシカルな領域でも少なからぬ作品を残している。旋律の魅力はなるほど。面白いのはその形や動きがロジカルに組み上がって落着するのではなく、ビジュアルな想像力に働きかけてくること。曰く物語を誘発する仕掛としての交響曲。
タイトルどおり、耳に残る美しいメロディや口ずさみたくなるリズムに彩られた楽曲を厳選したクラシック・コンピレーション。一流の演奏家を揃えた、贅沢な4枚組となっている。
ありそうでなかった組み合わせで、第一印象のお得感が良い。演奏もなかなか秀逸。決して大向こうを狙うというわけではないが、きっちりと上品に仕上げている。サン=サーンスはスケール感も豊かだし、フランクの方は特に第2楽章以降が優れている。