制作・出演 : 三代目
躍動する落語がここにある。明治学院の落研出身で、かつてはさん光と名乗っていた三代目権太楼も今やベテランだ。変わらぬ威勢の良さが大きな魅力で、登場人物を生き生きと語る。恒例となっている“鈴本夏まつり”や“特撰落語会”の2007&2008年の高座を収めており、仕事先の屋敷の主人と奥方の上品さにあこがれた植木屋とガサツな女房を描いた「青菜」や、町内の素人芝居における役揉めを主題にした「蛙茶番」、五升もの酒が飲めるか否かで賭けをする「試し酒」などを時流に合ったネタを盛り込みながら演じている。
講談なんてなんとも大時代的! と思ったら大間違い。たとえ時代が大昔だろうと、登場するのは歴史上の人物ばかり、通り一辺で画一的だろうと、やはり言葉の持つ力は大。CD録音の弱点もなんのその、新作講談にどんどんと引き込まれてしまうのは凄い。
大阪・天満天神繁昌亭で行なわれた落語の公演の模様を伝える“らいぶシリーズ”第8弾。文化庁芸術祭優秀賞を受賞するなど古典作品を中心に聞かせる正統派・林家染二の席から「いらち俥」「皿屋敷」を収める。
コロムビアの落語決定盤シリーズの、ちょっとエッチな噺と遊郭が舞台の噺を集めた“艶噺・廓噺”編。その3となる本作では、20世紀を代表する名人・五代目 桂文枝らが、粋でいなせな名人芸を披露。入門者でも通でも楽しめる一枚だ。
権太楼の噺に登場する人物は、その口調からか誰もが粗忽に思えてくる。講釈師に仕返しをすべく、高座中にくしゃみが止まらなくする「くしゃみ講釈」。根岸の里に隠居した大店の旦那の噺「茶の湯」は、誰もが茶の湯の心得がないところが味噌となっている。
いまや爆笑落語の大御所といえる三代目権太楼だけに「井戸の茶碗」も「短命」も徹底して滑稽噺に仕上げている。一見、荒っぽい藝に思えるが、その実、神経質なまでの繊細さを噺のあちこちに見て取れる。理屈抜きに楽しませてくれるのが権太楼落語の魅力。
親孝行がたたって幕下に落ちた佐野山の噂を聞いた横綱・谷風が取り組みを希望するという「佐野山」と、無銭飲食して居残りながら上手く煙に巻く「居残り佐平次」との2本立て。導入部から本題へとなだれ込むくだりの巧みさにベテランならではの技が光る。★
どんな噺でも爆笑ものにしてしまう。その時、キャラが立つのが権太楼だ。人情噺「紺屋高尾」とストーリー展開が同じ「幾代餅」では、のぼせ上がり“来年の三月”と呼ばれるあたりが面白い。「火焔太鼓」とともに志ん生が得意とした噺で、夫婦喧嘩が聴きどころ