制作・出演 : 團伊玖磨
発売元
株式会社フォンテック九州ゆかりの作品を多数残した團伊玖磨の、新旧二つの管弦楽付き合唱曲。ソロを含む「筑紫讃歌」は50分に及ぶ大作で、よく知られる「筑後川」からは30年の年月を経ているが、同系統の穏健な作品。素朴で雄大なハーモニーにあふれる楽曲を、地元の団体が情熱をこめて歌いあげる、幸せな時間が刻まれたライヴだ。
楚々としたナチュラルな歌声に魅了され、伸びやかで率直な表現に心が癒される童謡集である。「あめふりくまのこ」の天真爛漫な歌唱に天性の明るい気質が覗かれて微笑ましい。可愛い坊やの母親ならではの、5月の青空を思わせるさわやかなデビューCDである。★
歌劇『魔笛』の「夜の女王」で世界を魅了した中国の歌姫サイ・イエングアンによる日本歌曲である。澄んだ高音の美しさを生かした絶妙の歌いまわしが実に魅力的だ。惜しむらくはいくぶん不自然な日本語のディクション。いたしかたないこととはいえ、残念ながら気になる。
米良美一による、明治から昭和の日本歌曲集。タイトルの「母の唄」をはじめ「浜千鳥」、「宵待草」、「荒城の月」といったお馴染みの旋律を歌っている。カウンターテナーの澄みきった声が郷愁をさそい、聴き手をいつのまにか日本の原風景のなかへと誘う。
戦後長く東響を率いた上田による、團の交響曲の貴重録音の復刻。上田は新古典的な職人だ。ここでも彼は、ロマン的思い入れを排し、クリアにセッカチに音楽を捌いてゆく。そんな指揮は、團のセッカチさを嫌う、おおらかな音楽には、どうも合わないような……。
日本の合唱曲というのは不思議だ。さかんに歌われ続け、歌う人々には愛され続けているのに、純粋に鑑賞されることは少ない。せっかくの名曲なのだから、模範演奏として聴かれるだけでなく、鑑賞に耐えうるような新録音をしてほしいと思うのは私だけ?
日本を代表するオペラ作品「夕鶴」の上演600回記念公演のライヴ録音。さすがに気迫のこもった演奏で、作曲者自身の指揮の下タイトルロールの鮫島有美子以下声楽陣も好演。何よりも日本語で歌うことの美しさ、自然さを、作品の高密度な仕上がりと共に再認識。