制作・出演 : 現田茂夫
九州ゆかりの作品を多数残した團伊玖磨の、新旧二つの管弦楽付き合唱曲。ソロを含む「筑紫讃歌」は50分に及ぶ大作で、よく知られる「筑後川」からは30年の年月を経ているが、同系統の穏健な作品。素朴で雄大なハーモニーにあふれる楽曲を、地元の団体が情熱をこめて歌いあげる、幸せな時間が刻まれたライヴだ。
NHKの人気音楽番組『名曲アルバム』から厳選するシリーズの声楽編。Disc1は有名オペラ・アリア集、Disc2はクラシックの有名歌曲集、Disc3は欧米のトラディショナル・ソング集となっている。
発売元
キングレコード株式会社すっかりおなじみとなった、折々の“旬の素材”を集めたCMクラシック・ベスト。今回は映画音楽が多めで、甘口な仕上がりを楽しめます。なかなかに野心的&ユニークな音源セレクトはいつもどおり。今回の驚きはペギー葉山の登場([1](8))……って、いいんですか、これ?
映画のサントラ録音時のオリジナル譜面を用いてレコーディングする、という人気シリーズ。今回はバーンスタインやゴールドスミス、ヤングらの名曲の数々を演奏。安手のイージー・リスニングに陥らず、日本フィルが時に優美に、時に雄大に、一級品の演奏で魅了する。
日本フィルが進めている映画音楽集の第6弾。今回はアクション・サスペンス系というハード路線。サントラのオリジナル・スコア使用というのも嬉しい。演奏は多少の粗さがあるものの、ブラスと打楽器の炸裂が快感を呼ぶ。
今は亡き映画音楽の巨匠に捧げられた作品。「パピヨン」「風とライオン」をはじめ、彼の名曲が日本フィルによって、それもオリジナル・スコアで演奏される。通して聴くと、彼の、ニュアンス豊かでスケール大きな音世界は、クラシックの影響も大きかったのだ、と納得。
今までに発表した7枚のアルバムのベスト。かぶさり気味の発声のため、デビュー当時は音程がフラットに聴こえたが、今はほんのりくすんだその声音が、彼女らしい個性となっている。いわゆる歌のうまい人ではないが、ふくよかな雰囲気が魅力的。
人気ソプラノ佐藤しのぶの幅広い歌唱力を味わえる選曲。声にドラマティックな厚みを加えてきた近年の彼女による最良の成果がプッチーニの見事なアリアに結実している。一方新録音の(13)(14)など、ミュージカルとしてはもう少し軽やかな表現が欲しいところ。
ふりそそぐ愛の重さに子供がつぶされなければいいな……と思わずしらず感じてしまうほど、佐藤しのぶは思い入れをこめて歌っている。各曲とても綺麗な仕上がりで、なつかしい響きも持ちあわせているが、どれも同じように聴こえてしまうのはなぜだろう。
映画『もののけ姫』の主題歌を歌って一躍有名になった米良美一は今や日本を代表するカウンター・テナーの一人となった。ふっくらとした美声が生かされた(6)に耳を傾けてほしい。溢れ出る感情を抑制したデリケートな歌い口に彼の真摯な姿勢が感じられる。