音楽むすび | 制作・出演 : 大井和郎

最高の音で楽しむために！

ちょっと意表をつく録音をしていて、いま、目の離せないピアニストの一人といえる。今回は「巡礼の年」からの抜粋と平易な「子守歌」という珍しい曲を組み合わせている。総じて叙情的でロマンティックな曲が占めていて、大井の美しいタッチがことのほか光っている。

大井によるリスト第2弾は、「超絶技巧練習曲集」の原点とも言うべき、リスト15歳時の曲集である。技巧的にはまだ平易ではあるが、すでにリスト特有のロマンティシズムと叙情性にあふれ、彼の本質がみえている。大井の演奏は、後のリストを見据えたものとなっている。★

リスト弾きにとってのマイルストーンと言うべき、“楽譜どおりに弾くのはほぼ不可能”といわれた作品。大井はこの曲に3年という長い準備期間をかけて、じっくりと弾ききった。

珍しいハチャトゥリアンのピアノ作品。中にはオーケストラ曲として知られるものも。アクの強さはピアノ独奏になったことで幾分そぎ落とされ、あやなす響きはラヴェルやドビュッシーを彷彿とさせる。独特のメランコリーを持った曲集である。

クーラウのソナチネといえばピアノ入門者のための曲。演奏者も子供たちに教えるうちにこの作曲家の面白さに気づいたという。たどたどしい指運びでは表わしにくい豊かなメロディ・ラインがあり聴いて楽しめる。世代としてはシューベルトの少し上。