制作・出演 : 大月みやこ
歌好きの女の子が童謡、歌謡曲を歌いはじめ、ついにプロ歌手へという自叙伝的構成のライヴ・アルバム。自分のレコードを初めて手にした感激を語り、そのデビュー曲を歌う。淡々とした語りと熱っぽい歌唱とヒット曲で、大月の半生が見事に浮かび上がる。
歌舞伎から新劇、現代の『夢千代日記』まで、台詞付きでたっぷりと大月みやこの世界にひたれる。どっちかというと、台詞の方が主役って感じ。舞台では歌芝居って雰囲気でやられているもののCD版といったところか。これがなかなかの迫力でうまいんだ。
昭和の名曲を歌う企画シリーズの8集目。前半はハイカラな歌、後半は仁侠物と昭和を代表する名曲をピックアップ、彼女らしいしっとりとした哀愁がにじみでた内容になっている。個人的にこれまでも歌ってきたことが分かる消化した歌い方と愛情が伝わる。
21世紀へ歌い継がれる昭和の代表曲を歌う企画集の中の1枚。演歌からポップスまでの幅広い選曲は、オリジナルとは違う大月節を楽しむことができる。さすがとうならせる任侠演歌は女性ならではのソフトな色気があり、ムード歌謡は風格と味わいがある。
カヴァーしていくにしても、ここまでイタコ状態になっているカヴァーは見事である。女版の水原弘や橋幸夫になったり、梓みちよであったり、身震いするほどオリジネーターを呼び込んでいる。それでいて、大月みやこしかない歌唱展開をしているスゴさ。
戦前・戦後のヒット曲を中心にした名曲集。大月みやこのしっとりとした歌唱が味わい深い。ことに(1)(2)(3)は聴きもの。持ち味を生かして日本情緒タップリに歌う。(9)は昭和30年、(11)は昭和29年の発売だが、あまりなじみはないこの2曲の歌にも思い入れが感じられる。
昭和6年(1931)の(1)(佐藤千夜子)〜29年(1954)の(14)まで、昭和の名作、佳作集だ。オリジナルとはまた別の趣が感じられ楽しい。分けても(3)(5)などがとてもよい。また、美しい服部メロディを優しく歌う(9)もいつもとはひと味違う大月みや子が聴ける。