音楽むすび | 1996年11月21日発売

NYを拠点とする5人組のデビュー・アルバム。絶叫したりトーンを落としたりして陰影をつけるヴォーカル、そしてザクザク刻むギター・リフなどで跳ねるようなサウンドを展開し、激情を叩きつける。いろいろな字体で書かれた歌詞カードが面白い。

小川典子は87年のリーズ国際コンクールで3位に入賞後、ロンドンを拠点に欧州で活躍中のピアニスト。余韻のコントロールが抜群で、武満の曲が要求する世界を深いところで表現することに成功している。静かに語るような右手のフレージングも印象的だ。

ポルトガル・ギター(ギターラ)の湯浅隆とマンドリンの吉田剛士という2人の日本人によるポルトガル人顔負けのサウダーデ満喫ムード。それもファドにとどまらず、ブルーグラスやらロック調のものまでを、ポルトガル風にこなしてしまう不思議な2人組。

サラエボに生まれ、88年から日本に住む女性シンガーのアーティスティックな作品。自作曲や喜納昌吉の(8)、ニーノ・ロータの(9)などを、暖かくも静謐感のある声で歌っている。アコーディオンのcobaや薩摩琵琶の坂田美子が参加した手作りの音もいい。★

湯浅隆(ポルトガル・ギター)と吉田剛士(マンドリン)によるアコースティック・デュオ、マリオネットのポルトガル録音の2ndアルバム。ファドの名曲とオリジナル曲で構成され、明るい陽光を思わせる軽快なリズムと望郷の念を想起させる哀愁が同居している。★

園田のベートーヴェン・シリーズ第9弾は晩年の大作と小品集。(1)に聴く逞しい構築と念入りな彫琢は、演奏家としてのさらなる向上を目指す強固な意志と、そのための不断の努力を反映している。(2)は、小品集としての統一性を極めて明確にとらえた演奏。