制作・出演 : 山下洋輔
トリプル・キャッツトリプル・キャッツ
ニューヨーク・トリオ結成20周年記念盤となる本作。縦横無尽、緩急自在なプレイは、日本的情緒たっぷりの「幻燈辻馬車」や、ガーシュウィンの曲でよく弾くカデンツァ・ソロを入れた「“イン・F”フラグメンツ」などでも垣間見れるが、自ら綴った曲解説にもしっかり山下節は生きているのだった。
山下洋輔:ピアノ協奏曲第1番≪エンカウンター≫山下洋輔:ピアノ協奏曲第1番≪エンカウンター≫
山下独自のブルーな旋律が、オーケストラの響きとして構築されていくさまが実にスリリング。屈強の“共演者”と戦うピアノのソロ・パートも、勁い集中力に満ちている。即興的作品における名作の、優れたドキュメントだ。「ボレロ」の解放感もいい。録音はイタリア初演時のもの。★
ミスティック・レイヤーミスティック・レイヤー
山下洋輔ニューヨーク・トリオのアルバムで、川嶋哲郎がゲスト参加((2)(4)(5)(8))。緊密度が他に類を見ないほどに高い同トリオだが、和的情感&美の最上級の表現者でもある。端的には川嶋が尺八を模したフルートを聴かせる(4)に、また(1)の山下の深遠なピアノにそれは表われる。
パシフィック・クロッシングパシフィック・クロッシング
山下洋輔ニューヨーク・トリオ結成15周年記念盤。単に邦楽器とジャズの融合にとどまらない、邦楽や童謡から受けた創意を自在に駆使した意欲作。能の幽玄も円生の出囃子も渾然一体となって聴覚細胞の遺伝子を知的に刺激する緻密な構成が素敵。ぜひ、一聴! のお薦め品である。★