制作・出演 : 山田一雄
小山清茂は日本の民俗音楽をベースに一貫して作品を書き続けてきた作曲家で、ここに収められている作品もすべて、日本のさまざまな音楽を素材としている。比較的生に近い形で使っており、土俗と洗練が不思議な融合を作り出している。演奏もそのあたりの特徴を巧みに表出している。
芥川也寸志の没後20年を記念したBOX。芥川が創立に大きく関わり、音楽監督を務めた新交響楽団による、90年の追悼演奏会と没後10周年記念演奏会の模様をまとめている。改めて芥川の業績を見つめるいい機会だ。
マーラーは、藤沢市民会館におけるライヴ録音で、いまだに熱烈なファンが熱く語る記念碑的なもの。山田一雄ならではの壮大な演奏が、この巨大な交響曲にふさわしい。フォーレは伊藤京子、大賀典雄が出演した貴重な録音。
画家・王子江によるジャケット絵、ルビつきの丁寧なライナーなど、良い仕事が際立つ“子どもたちに贈るエッセイ”シリーズは、国内演奏家のアナログ名演アーカイヴとしての役割もまた担っている。江藤俊哉&山田一雄による「チゴイネルワイゼン」など、他で聴けない音源の貴重なこと。
水墨画家・王子江のジャケットに心がなごむ、子供に向けたクラシック名曲集。監修の有馬礼子による解説はルビ付き、両親向けの手引きまでついた親切さだ。録音は古めだが、音質は上々。何よりも音が微笑んでいるのが嬉しい。懐かしい巨匠たちの名演盤としてもお勧め。★
発売元
キングレコード株式会社豪華な配役で67年に録音した教育用アルバム。演奏は薄っぺらなところがなく格調高い。テンポはやや遅めで聴く子供たちが細部まで注意を払えるよう考慮されている。当時、この日本にも丁寧な作りの職人的温かさを感じさせるものが、まだあったのだ。
日本語のナレーションによる「兵士の物語」。観世栄夫と観世寿夫のナレーションが凝っていて素晴らしい。演奏は少し淡泊だが、悪くない。今の日本の音楽界では考えられないような企画力と周到な準備による70年代の意欲的な録音といえる。
発売元
キングレコード株式会社日本語による舞台で、これほど言葉が聞き取れることは少ない。邦訳歌劇の上演史に残る1970年の貴重なライヴである。資料的価値もさることながら、オペラを聴く醍醐味を満喫せてくれる。生き生きとした音楽を描き出す山田一雄の指揮が果たす役割も大きい。