制作・出演 : 白石光隆
吉田恭子の通算7作目となるアルバム。着実にキャリアを積み上げてきた吉田の、豊かな表情が光っている。白石光隆との息もピタリとあって、多彩でロマンティックなヴァイオリンの世界を楽しませてくれる。
往年の名手が愛奏してきた難曲に取り組んだ意欲作。といっても、難技巧をひけらかすことはなく、実にサラリとした風情だ。「スペイン民謡組曲」も民俗臭は稀薄で、コッテリ系が好きな人は淡白に感じるかもしれないが、クールな表面の内側に煌く吉田恭子の秘めた情熱を聴き取りたい。
「浜辺の歌」や「カナリヤ」で知られる成田為三のピアノ曲集という、珍しく貴重なアルバム。大正時代に作曲されたピアノ・ソナタをはじめ、高度な技巧が要求される曲を披露。彼の再評価につながる一枚だ。
独自の感性で選ばれた作品が、肌触りのいいヴァイオリンによって優しい時間を紡ぐ。ここへきて、感情表現の起伏が豊かになったようで、その陰影が不思議な色合いを醸し出している。白石のピアノは、その大きな懐を持った音楽性で彼女の世界を強力にバックアップ。
たまゆらレーベルからの2枚目のソロ・アルバム。ベートーヴェンは第30、31番が出ていて、新感覚のベートーヴェンとして高い評価を得た。従来のベートーヴェン観を一新する刺激的なアルバムに仕上がっている。
東京芸大卒業で現在フリーで活躍する工藤淳子のデビュー盤。マイナーな楽器なのだから、いっそのこと“秘曲”ということでの選曲なのだろうが、楽しい作品がざっくざく。グールドのファゴット作品なんて、面白すぎ。この勢いでファゴット界のスターを目指せ。
吉田恭子の2年ぶりの録音は、ヘップバーン・メドレーなどのユニークな作品を含む魅力的な小品集だ。どの曲も自分の感じるままに素直に演奏していて、普段着的な親しみやすさがある。そのナチュラルさを失うことなく、彼女独自のスタイルを築いてほしい。
これは必聴! 歴史に残る大指揮者たちのオリジナルのピアノ曲が集められた注目の貴重なアルバムである。トスカニーニの心休まる子守唄! シューマン風のフルトヴェングラー。ロマンティック極まりないムラヴィンスキーの前奏曲(スクリャービン風)など興味津々!