ジャンル : クラシック > 声楽曲
高田三郎の代表的な合唱組曲である「水のいのち」と「心の四季」が収められている。日本語の響きが大切にされた、抒情的で美しい音楽が心にしみる。作曲者自身の指揮による、日本のトップ・クラスの合唱団の真摯な歌声もなかなか感動的である。
日本の作曲界の重鎮、高田三郎の混声合唱曲3曲を収録した1枚。高田自身の指揮によるものなので、作品の意図がきちんと反映された演奏と考えていいだろう。作品を密度高く歌い上げて、作曲家独自のシリアスな響きを鮮やかに浮かび上がらせている。
日本の音楽環境で合唱の占める位置は大切だ。とくに大学を中心に普及する男声合唱。彼らの真摯な表現は独自の世界を築いている。多田武彦の、簡潔な語法で深く自己を見つめる音楽も、そうしたアプローチをリードするもの。まさに日本合唱音楽の典型だ。
日本の合唱曲というのは不思議だ。さかんに歌われ続け、歌う人々には愛され続けているのに、純粋に鑑賞されることは少ない。せっかくの名曲なのだから、模範演奏として聴かれるだけでなく、鑑賞に耐えうるような新録音をしてほしいと思うのは私だけ?
野田暉行(40年生まれ)が78,81年に編んだ2曲。蓬莱泰三の内実性あふれる詩に作曲された「青春」、有明の海の神秘を情感豊かに歌い上げた川崎洋作詞の「有明の海」も、田中信昭と東京混声合唱団の純度の高い響きを得て、おそらく最良の姿を現している。
当盤は少しマニアックな曲。しかしすでに“古典”といってよいほどのスタンダード曲ではある。秋山和慶、ピュイグ=ロジェらの強力な支えによって、この作品の深さに迫る。技術的レヴェルは高いが、演奏そのものには、もう少し練り込みがほしかった。
広瀬量平の2つの代表的な合唱曲を収録。77年に作曲された「海鳥の詩」は北の鳥を通して厳しい自然を歌いあげたもの。74年に書かれた「海の詩」では、現代人のおかれた状況に鋭い眼差しを向ける。これらの作品を演奏する人たちの指針となる演奏だ。
湯山昭による女声合唱作品集。いかにも瑞々しい叙情性に、人や自然へのこのうえなく優しい想いやり……これこそ日本人が女声合唱に求めたものかもしれない。湯山もその代表的な作曲家。(3)に込められた青春の燃えるような1ページ。感動的でさえある。
合唱のための新しい作品をこのような形で選集とする仕事は貴重である。すぐれた4人の作曲家の作品が並ぶが、抽象的な器楽作品と違って、言葉の問題、歌うという事とその伝統、声の持つ肉体的リアリティーなどとそれぞれに格闘、苦闘していて興味深い。
「カロ・ミオ・ベン」「すみれ」といったイタリアの古典歌曲を収録。錦織健はいつもながらの美しい声だが、当盤は言葉のとらえかたがいまひとつで、心を打たない。エコー処理に不自然さを感じるし、ピアノをもう少しクローズ・アップしてもよいのでは……。