ジャンル : クラシック > 現代音楽
柴田南雄(1916〜1996)は前衛的技法を集大成し、後半生は過去の音楽を混合・総合して新たな方向を示した。民謡や古旋律が交錯し寸劇も入る「銀河街道」には、多様な素材の再構成という創作原理が凝縮されている。充実のブックレットで資料的価値も高い2枚組。
近年、貴志康一の再評価が活発だ。本盤には彼のヴァイオリン曲6曲と歌曲7曲を収録。日本的雰囲気を醸し出すメロディアスな旋律とロマン派的話法が特長。非常に描写的で具象的で聴きやすい。ヴァイオリン曲は佳曲揃いでもっと演奏されるべきだろう。
28歳の若さで夭逝した貴志康一の代表作2作を収録している。ともに、小松二度目の録音。日本音楽の要素を取り入れたその音楽は、十分に抽象化されてはいないが、貴志の才能は随所にきらめいている。そのまま生きていれば山田耕筰を超えていたかも。演奏は文句ない出来。
夭折の天才作曲家・貴志康一が、1935年にベルリン・フィルを指揮した自作自演のSP盤からの復刻。日本の旋律を使って叙情的に描かれた「日本スケッチ」が興味深く聴ける。フルトヴェングラーに師事した指揮の腕も確かだったのだろう。演奏はきわめて充実している。
2000年9月東京、2001年2月大阪で行なわれたサントリー音楽賞記念公演のライヴ。それぞれの会場で、東響、大フィルという二つのオケが三善晃の交響四部作を演奏した記録だ。戦災の体験を原風景とする壮絶なイメージが痛切な音となって突き刺さってくる。
タイトル=コンセプトに沿って“静かでゆったりとした音楽”だけでまとめられた美しい一枚。本人によれば“非常にチャレンジング”なこの試みは、実は加古隆のスタイルにとても似つかわしい結果を生んだ。全12曲、印象派風のノーブルな響きにたっぷりと浸れる。
甘すぎず、辛すぎず、程よい味わいのグッド・バランスな曲たちは自作自演にして秀演。指揮者デビュー時の筆者の取材でも、作曲家としての存在を第一に主張していたサロネン。旺盛なる創作意欲の発露であり、仲間たちの共演を得てひとつの理想が具現化した。★