制作・出演 : 堤剛
2000年9月東京、2001年2月大阪で行なわれたサントリー音楽賞記念公演のライヴ。それぞれの会場で、東響、大フィルという二つのオケが三善晃の交響四部作を演奏した記録だ。戦災の体験を原風景とする壮絶なイメージが痛切な音となって突き刺さってくる。
堤にとって3度目の同作品の全曲録音。「以前よりもバロック的なものに近くなった」とは本人の弁だが、骨太な構成や、ゆったりとした呼吸感がもたらす懐深さといった持ち味を損なうことなく、見事に新境地を切り拓いている。第5番はA線をGに下げる変則調弦を採用。
堤剛が20年ぶりに録音した2度目の全集。確かなテクニックのもと、その円熟ぶりが発揮され、覇気に富んだ演奏として高い評価を得た。録音も優秀で、彼のスケール感がしっかりと伝わってくる。
ジュネーヴ国際コンクールでポリーニと最高位を分け合ったカナダのピアニスト、トゥリーニと組んだベートーヴェン。レコード・アカデミー文化庁芸術祭賞を受賞した代表作のひとつ。
当時の日本を代表する3人による三重奏曲の、ソニーへの録音をすべて収録した2枚組。ソリストが集った奔放さはないが、スケール感や密なアンサンブル、そして緊張感を備えたしっかりとした演奏を聴かせている。
指揮者サヴァリッシュがピアノを受け持った興味深いアルバムで、発表当時話題となった。2人の息はぴったりで、堤剛が洗練されたブラームスを聴かせている。心にじわっと浸透する一枚だ。
ニッポン放送の『新日鉄コンサート』(旧フジセイテツ・コンサート)が55年に始まって早50年。幸いにもほとんどがデジタルで記録保存された。ここにはその一部が収録されているが、そのすべてが初CD化だ。当時の日本人演奏家の質の高さがはっきりと分かる。★
うっかりするとほとんど後期ロマンのような作品に聴こえるが、これらは69年と97年の作品。この時期にそうした曲を書くというのは、骨があるというのか何というか、ともかく確信犯ではある。演奏にはある種の“ひたむきさ”がよく出ているけれど。