音楽むすび | 斑

僕のアーティスト人生の中でも、予てより和を重んじる楽曲は作ってきましたが、
今回は初の和コンセプトフルアルバムとして打ち出していきたいと思います。日本古来より語り継がれてきた伝承や歴史に、
自分ならではの趣向を凝らし、新たな物語を創り出すことを目指しています。古きものであれ、それが色褪せることなく、
輝き続けることができるのは人の心を動かすからです。僅かな言葉に込められた意味の深さ、先祖より伝わる遺伝子を振るわせる音の重なり。
今回のメイン曲である「月界の御子」は誰もが一度は読んだことがあるであろう“竹取物語"の世界に関連しています。
かぐや姫の子孫を主人公に、過去から現代へ、そして現代から未来へと繋がる絵巻物のような曲が生まれました。
古典的で雅やかでありながらも、新しい風を吹き込む、それが今回の目標です。伝承や歴史の記述は多く残されておらず、
竹取物語に関しては作者不詳でもあります。そこから新たな糸を紡ぎ、新たな物語を織り成す喜び。
アルバムは全曲通して「和」がテーマですが、一曲ごとに深い物語と異なる色をもたせ、その曲がすべて集まった時に満開の花が開くのでしょう。
自分の人生の中で初の試みというのは、いくつになっても胸が高鳴ります。前回のシングルに続き、敬愛する諸先輩の皆さんや仲間の力をお借りしつつ、
自分が持つ最大限の力でまだ誰も見たことのない美しい景色を創り出したいと思います。またアルバムタイトルである「斑」ですが、
これは日本の伝統色が彼方此方に鏤められているような作品にしたいという気持ちから付けました。そしてアルバム収録曲である「アサギマダラ」は
自らの名である“浅葱"と共に、作品を締めくくるに相応しい曲です。それぞれの楽曲が異なる耀きを放ちながら、
他にはない自分という人間の心を表現できたと思います。過去でも未来でもない、これが僕の伝えたい「今」です。

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